8月8日に日向灘沖で発生した最大震度6弱の地震では、住宅の中で家具が倒れたり食器が割れたりという被害も発生した。特にビルの高層階や免震構造の建物で影響があったと考えられるのが「長周期地震動」という揺れ。宮崎市のマンション12階で、壁一面の棚が倒れてくる被害が出た部屋もあり、この部屋の住人は、戸建てや低層階とは違う対策が必要だと訴えている。

長周期地震動とは?

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長周期地震動は、マグニチュードが大きな地震が発生した時に高層ビルなどが大きくゆっくり揺れる現象のことで、揺れが遠くまで伝わるのが特徴。

【実験映像】

実験映像では棚などが倒れ、コピー機が室内を移動している。今回の地震ではこの「長周期地震動」が、南部山沿いでは立っていることが困難だとされる「階級3」北部平野部と南部平野部では「階級2」を観測した。

部屋の半分が棚で埋め尽くされる

宮崎市の高層マンションで被害を受けた女性は今も片付けに追われ、先の見えない不安な日々を過ごしている。

鉄筋コンクリート造りのマンションの12階。中に入ってみると…

藤崎アナウンサー:
うわ、こんなに?かなり揺れたんですね…部屋の半分がもう棚で埋め尽くされてぐちゃぐちゃですね…。

被災した女性:
今はもう生活できないので、子供たちとは別々に生活をしています。

この家に住む41歳の女性は8月8日、夏休み中の10歳と8歳の子供と一緒に部屋で過ごしている時に揺れに襲われた。

被災した女性:
揺れる5分くらい前までは勉強机に娘、テレビの前に息子がいて、ちょっと休憩しようとダイニングテーブルで飲み物を飲んでいた時に地震が来ました。船の甲板に乗って大波に揺られて、扉に入って行きたいけど入れないぐらいグラグラずっと揺れているような感じ。

Q.もし休憩していなかったら?

考えたくないですね。家具屋さんに聞いたら500キロぐらいあると言われたのでそれが倒れてくると思うとたぶん今こうやって話したりできていないのかなと思います。

1人では片づけられない…ボランティアが協力

この日は社会福祉協議会のメンバーと青年会議所のボランティア合わせて8人が片付けの手伝いに訪れていた。

宮崎市社会福祉協議会 末継 慎一福祉課長:
宮崎市ではそんなに被害が出ていると感じていなかったんですよ、この連絡があるまでは。だいぶ上層階は揺れがひどかったんだなと…。

宮崎市で観測された長周期地震動は「階級2」。キャスター付きの家具などがわずかに動く揺れだとされているが、女性の家ではここまでの被害が出てしまった。

高層マンションに住む人たちにとっては高層階特有の揺れへのさらなる備えが求められている。

被災した女性:
マンションの上層階では突っ張り棒だけではダメだったなというのが正直なところなので、本当にその家の階数や向きで大丈夫か、今回の揺れで倒れてこなかったけど、家具などが動いていたと思う人たちは、見直していただいた方が良いと思います。

子供たちの成長の機会に

女性は「この家にいると揺れを思い出し心が休まらない」と話すが、この経験を将来につなげてほしいと、子供たちにも片付けの様子を見学させていた。

被災した女性:
今回災害ボランティアの方が動いてくださって、女手ひとつでは棚を起こすこともできないし、どうしようもないところを助けてくださって、すごくありがたさを感じている。子供たちには、こういう時に助けられるような人になってほしいなと思って、現場を見てもらったら良いのかなと思っています。

同時に、この現状を多くの人に見てもらうことで、揺れへの対策をしておこうと考えてもらい、次の地震の時に人が亡くならない事につながってほしいと話した。

日向灘では「割れ残り」がある事も指摘されている。次に来る地震は、さらに大きい揺れや長周期地震動を発生させるかもしれない。自分の命を、家族の命を守るため、改めて対策の見直しをしてもらいたい。

(テレビ宮崎)

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