夏季休暇で旅行や帰省をするという人も多いだろう。旅行計画を立てるのは大切だが、出かける前は行き先の天気予報を確認することも重要だ。

用意しておくと安心なものは

天気予報は、インターネットやスマートフォンの天気アプリでも確認できる。特に、旅行の前日に最新の天気予報を確認しておきたい。旅行中も定期的に天気予報のチェックをするのがおすすめだ。

現地ではテレビのニュースやインターネット、ラジオ、観光案内所などの情報源を活用して、最新の天気予報や警報・注意報を確認しよう。

特に山間部や海辺では天気が急変することがある。晴れていても、突然雨が降り出すことがあるため、折りたたみ傘やレインコートがあると良さそうである。小さく畳めるタイプのものが便利だ。

晴れていても天気が急変することも
晴れていても天気が急変することも
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また、カバンや靴など、身の回りのものに防水対策を施しておくと安心である。スマートフォンやカメラなどの電子機器も、防水ケースなどに入れておくのがおすすめだ。

旅行中も熱中症対策を!

旅行中はスケジュールを詰め込んでしまうことがある。長時間、暑さの中を移動するなど無理をしてしまうことがあるかもしれない。旅行中は、いつも以上に熱中症に気をつけたい。水や麦茶などを常に持ち歩き、定期的に飲むように心がけよう。

旅行中は、いつも以上に熱中症に注意を
旅行中は、いつも以上に熱中症に注意を

直射日光を避けるために、帽子や日傘を利用したり、できれば日陰や涼しい施設などで休憩を取ったりしよう。冷却タオルや冷感スプレーなども併用するのも良さそうだ。

また、日焼け止めをこまめに塗るなど、天気に関わらず紫外線対策も忘れずにしておきたい。

旅先での災害への備え

旅行先では、念のため自然災害に備えることも重要だ。特に日本は地震や台風、豪雨などの自然災害が多い国である。もし、旅行中に災害が発生した場合、適切な行動を取るためにも事前の準備が必要だ。山や海、川の近くなどへ行く場合、出かける前に必ずハザードマップを確認しておこう。

ハザードマップを確認して自然災害に備える
ハザードマップを確認して自然災害に備える

旅先での避難場所を確認しておくことが大切であり、ホテルや宿泊施設などのスタッフに尋ねるのも良さそうだ。宿泊施設の非常口をチェックし、もしものときに備えて、複数の避難所を確認しておくと安心だ。

災害時でも、スマートフォンなどが充電できるようにモバイルバッテリーを用意しておくと便利である。また、普段は電子マネーを使用することが多い人は、現金も持っておこう。停電などのトラブルで、カードやキャッシュレス決済が使えなくなる可能性があるからだ。他には、災害時に確実に手に入るとは限らないので、マスクや生理用品なども鞄に入れておくと良さそうである。

車での旅行の場合、緊急時に備えて非常用持ち出し袋を車に置いておこう。中には、飲料水、非常食、医薬品、懐中電灯、ラジオ、モバイルバッテリーなどを入れておくと役立つことがある。

車に防災グッズを備えておくと安心
車に防災グッズを備えておくと安心

旅行前には、家族や友人など緊急連絡先を確認しておき、海外旅行なら現地の日本大使館や領事館の連絡先もメモしておくことだ。

車移動での「かくれ脱水」に注意

車での移動は旅の楽しみでもあるが、長時間の運転は疲れやすいため、適切な休憩を取ることが大切である。個人差はあるが、2時間ごとに休憩を取り、ストレッチをすることでリフレッシュできる。

車移動での「隠れ脱水」に注意
車移動での「隠れ脱水」に注意

また、車の中では「かくれ脱水」に気をつけよう。エアコンが利いている車の中は、涼しいが乾燥するため、徐々に体内の水分が奪われ、脱水症状になることがある。

この「かくれ脱水」は本人や周りの人も気づきにくいため、気がついたときには危険な状態というケースがある。

喉が渇いてから水分をたくさん摂るのではなく、30分~1時間に1回など水分補給をこまめにしよう。緑茶やコーヒーのようなカフェインを含む飲み物は利尿作用があるため、できれば麦茶やスポーツドリンクなどのノンカフェイン飲料にするのがおすすめだ。

緑茶やコーヒーのカフェインに利尿作用があるためドライブ中は麦茶などがオススメ
緑茶やコーヒーのカフェインに利尿作用があるためドライブ中は麦茶などがオススメ

脱水症状のサインとして、口の中が粘つく、手や足の筋肉がつる、ワキが渇く、手が冷たくなるなどがある。こうしたサインがある場合は、とにかく近くの休憩場所を探して、まずは休んで水分補給をすることだ。

また、道の駅やサービスエリアで休憩するために車から降りるときは、絶対に子どもやペットを車に置き去りにしてはいけない。ごく短い時間でも、車の中の温度は危険なレベルまで上がってしまうからである。少しの間だからと、子どもやペットを車に残して離れるといったことは禁物だ。

世界天気の確認方法

海外旅行の場合は、渡航先の天気予報を確認しておきたい。異なる気候や環境に対応するために、事前に情報を収集しておこう。

現地の天気予報を提供するウェブサイトやアプリを活用し、最新の天気情報をチェックしよう。特に、8月はハリケーンやサイクロン、台風シーズンということもあり、豪雨が予想される地域では注意が必要だ。

海外の天気予報を確認する方法の1つとして、WMO(世界気象機関)のウェブサイトがあり、世界それぞれの国の気象局が出した自国の予報が掲載されている。

WMO(世界気象機関)HPより
WMO(世界気象機関)HPより

世界地図が出てくるので、目的の地域に寄っていき、旅先の地点や近い地点をクリックすると天気予報を確認できる。

スマートフォンで確認する場合は、地域(アジアやヨーロッパなど)を選択し、アルファベット順に出てくる国名の中から行き先の国を選択する方法でも調べられる。

WMO(世界気象機関)HPより
WMO(世界気象機関)HPより

東南アジアなど地点によっては、連日、Thundershowersと表記があり、雷雨のマークがついていることがある。旅行中ずっと雨マークでがっかりしそうだ。しかし、これは一日中雨や雷雨ということではなく、晴れ間もあるが、一時的に雷雨の可能性があるということを示している場合もある。旅先では空の変化にも気をつけながら楽しみたい。

旅先で役立つ!羽織るもの

世界の天気予報を活用して、渡航先の気候に合わせた服装や持ち物を準備しよう。暑い地域への旅行では、通気性の良い服を選び、さらに羽織るものを用意しておくと良さそうだ。公共交通機関やショッピングモールなどの施設では冷房が強い場所もあるので、冷房対策として役に立つことがある。

旅行先が南国でも冷房対策で羽織るものを
旅行先が南国でも冷房対策で羽織るものを

8月が冬季にあたる南半球(特に中緯度より南では寒いときもある)や、寒冷地などが旅先の場合は寒さ対策が必要になる。日中は過ごしやすい気温でも朝晩はぐっと冷えるところもある。

手袋、帽子、マフラー、暖かい靴下などの防寒具を持参しよう。ホッカイロや保温ボトルに入れた温かい飲み物を持ち歩くのもおすすめだ。

旅行中は天気によって予定が変更になることもある。そのため、旅行プランに柔軟性を持たせておくことが重要だ。天気の悪化に備えて、屋内で楽しめるアクティビティや観光スポットをリストアップしておくのも良いだろう。天気予報の確認や備えをきちんとし、安全で楽しい旅行や帰省にしよう。

【執筆:日本気象協会】

日本気象協会
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日本気象協会は1950年の設立以来、気象・環境・防災などに関わる調査解析や情報提供を行ってきました。2023年7月1日現在、355人の気象予報士が所属しています。
昨今、気象の激甚化や地球温暖化、エネルギー問題、情報化社会の進化、超高齢化・少子化社会の到来など、世の中の状況が大きく変化してきています。
日本気象協会の最大の強みは調査解析技術とリアルタイムに情報を提供できる技術を併せ持つこと。
世の中の変化に対して、強みを生かし法人や個人のお客様とともに、「自然界と調和した社会」の創生を目指し未来を切り開いてまいります。