今シーズン最強・最長寒波から一転、今週中頃は一時的に季節先取りの暖気が入り西日本・東日本では桜が咲く頃の気温となりそうだ。

12日(水)~13日(木)は広く天気が崩れるが、九州~東北にかけて平地では雨が主体。南風が強まり「春の嵐」に。一気に雪解けが進むため、融雪災害に注意が必要だ。

また、九州~関東でスギ花粉が本格飛散となる可能性があるため、対策は万全に。ただ、季節は一進一退、来週は再び冬の寒さに逆戻り。10年に一度レベルの低温と大雪に注意が必要だ。

“最強・最長寒波”で平年3倍以上の雪に

今季最強・最長寒波から1週間。寒波のピークは越えたが、北陸~北日本の日本海側では祝日11日(火)にかけて雪が続く。

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東北から新潟の山沿いでは3メートル以上の積雪となっていて、石川や富山などでは平地でも平年の3倍以上の雪が積もっている。引き続き、雪崩や屋根からの落雪に注意が必要だ。

12日(水)は”3月並み” 関東「春一番」も

12日(水)~13日(木)は、低気圧が日本海に進み前線が列島を通過する見込みだ。西から雨の範囲が広がるが、暖気が入るため九州~東北まで平地では雨が主体。

南風が強まり、春の嵐となりそうだ。関東は南西風で吹き上がるため、雨はあまり降らないが南風がビュービュー吹き「春一番」の可能性がある。

また、暖かい南風により気温が一気に上がる見込みだ。12日(水)の最高気温は東京都心・大阪・福岡で13℃と3月上旬並み。金沢11℃、札幌5℃は3月中旬並みの予想だ。

前線が通過した後は北風に変わるが、今週末にかけては平年並みか平年を上回る気温が続きそうだ。特に、東京都心では今週末16日(日)にかけて最高気温が15℃と、桜の蕾も一気に膨らみそうな暖かさとなりそうだ。

西日本や東日本では、スギ花粉が本格飛散となる可能性があるため、対策は万全に心がけたい。また、一気に気温が上がるため、雪崩や屋根からの落雪、雪解けによる道路の冠水など、融雪災害に注意が必要だ。

来週また真冬… ”10年に一度”の寒さと雪

ただ、このまま一気に春本番とはならず、来週は再び真冬の寒さが戻りそうだ。

17日(月)頃~20日(木)頃にかけて再び寒気が南下。本州付近は、降れば雪の目安である上空1500メートル付近でマイナス6℃以下にすっぽりと覆われ、更に強いマイナス9℃以下も西日本・東日本に南下する予想だ。

東京都心でも、朝0℃くらいまで下がる日がありそうだ。

気象庁は10日(月)、「低温に関する早期天候情報」と「大雪に関する早期天候情報」を発表した。この情報は10年に一度程度しか起きないような著しい低温や大雪が予想される場合に発表される。

九州、中国、四国、近畿、東海、北陸では17日(月)頃から、沖縄では18日(火)頃から再び厳しい寒さとなりそうだ。

また、北陸や岐阜県山間部では17日(月)頃から、長野県北部や群馬県北部では18日(火)頃から、冬型の気圧配置が強まり降雪量がかなり多くなる可能性があるため注意が必要だ。

春と冬を行ったり来たり… 融雪・花粉に注意

この先しばらくは気温の変動が大きくなりそうだ。

急に暖かくなることで心配されるのが、融雪による災害だ。積雪が多く残る所では、気温の上昇や雨により雪解けが進むことで、次の3つの災害が発生する恐れがある。

(1)「全層なだれ」の発生
山に積もった雪が全て滑り落ちる現象で、気温の上昇や雨の後などに多く発生する。過去になだれが発生した斜面や積雪に亀裂が入っている所では、特に注意が必要だ。

(2)「土砂災害」の発生
雪解けにより大量の水分が地面に浸み込むことで地盤が緩み、土砂災害が発生することがある。山間部や急な傾斜地では、特に注意が必要だ。

(3)「冠水」の発生
雪が多く積もった道路で、気温が上昇したり、雨が降ったりすると、冠水のおそれがある。路肩に集められた雪によって排水が悪くなったり、雪の塊が排水溝を塞いだりしてしまうことがあるためだ。大雪のあとの雨は、たとえ大雨でなくても、道路の冠水に注意が必要だ。

 このほか屋根からの落雪も多くなるため、屋根の上の雪下ろしや軒先で作業する際は注意が必要だ。

寒暖差も大きくなる。体調管理にも十分ご注意いただきたい。
【執筆:日本気象協会 福冨里香】

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