夏休みを迎え、これから水辺のレジャーを楽しむ機会も増えてきている一方、毎年この時期に「水の事故」が多いことも忘れてはいけない。
もし溺れそうになった時、命を守る合言葉は「ウイテマテ」。
服を着たまま浮いて待つ
宜野湾市の大謝名(おおじゃな)小学校、夏休みを目前に控えた5年生がプールに集まった。
UITEMATE沖縄 又吉亮さん:
「浮いて待て」とは自分で命を守る方法。水の事故、水難事故から自分の命を守る方法を学んでいきます
海や川で溺れかけたら慌てず「浮いて待て」!「背浮き」、いわゆる「ラッコ浮き」で、体力を温存しながら救助を待つ方法を習った。
沖縄テレビ 金城わか菜アナウンサー:
この講習のポイントは、服を着たままで行うことです。水難事故のほとんどが、水の入る予定がなかった時に起きていることから、服を着たままで浮いて待つ方法を学びます
県内では2023年に水難事故が過去最多
団体の代表を務める仲村翔さんは宜野湾市消防の職員。2011年に小学生の水難事故を目の当たりにしたことをきっかけにこの活動を始めた。
UITEMATE沖縄 仲村翔 代表:
小学1年生の男の子が学校帰りに誤って川に落ちてしまう事故がありました。一度心肺停止になり、心臓マッサージや引きあげている様子を見てしまいました。その子は6年生のときに、その事故の後遺症で亡くなってしまいました
事故を繰り返さないためには、子ども自身が予防や対処法を身に着けることが必要。UITEMATE沖縄の活動を始めて12年。いまでは80人以上の仲間がボランティアとして参加し、延べ1万人以上に命を守るための講習会を開いてきた。
ところが2023年、県内の水難事故の件数と死者・行方不明者は過去最多。子どもが事故に遭う件数も増えている。2023年に水難事故にあった罹災者、被害に遭った人は169人と過去10年で一番の多い年といわれ、その中で60人が亡くなったり、行方不明になっている。子どもの事故、18歳未満も4人亡くなったため、仲村代表は活動を続けていく意味があると訴える。
UITEMATE沖縄 仲村翔 代表:
はい、肩まで入る。ゆっくりうしろに倒す
命を守る8分
真上を向いて手足は水の中に入れ、鼻と口だけを水面から出すこと体得した子どもたち。
沖縄テレビ 金城わか菜アナウンサー:
8分間チャレンジが始まりました。救急隊が到着するまでの全国平均が8分間。子どもたちは静かに浮いて待ちます
沖縄テレビ 金城わか菜アナウンサー:
残り1分を切りました。子どもたち集中して浮いています。がんばれ~、あともう少しだよ
参加した生徒の感想
「めちゃきつかったよ」
「だいぶきつかったです。でも8分間浮けて良かったです」
もし溺れている人を見たら…
万が一溺れている人を見かけたら、ランドセルなどの浮くものを溺れている人に向けて投げ、浮かんで待ってもらう。
子どもたちの声:
浮いて待て!そのままだよ!浮いて待て
UITEMATE沖縄 又吉亮さん:
みんなが一人でも多くの人に教えられたら、沖縄県の水難事故は限りなくゼロに近づく。今日は習ったんだけど、このあとからは教える側です
講習を終えた児童の声
「ランドセルは、たくさん荷物はいっていても浮くんだよとか、飛び込んだからだめだよとかを伝えたいです」
「いとこが1年生なので、溺れそうな時は「ウイテマテ」をするんだよと教えたいと思いました」
今回講習を受けた児童のおよそ半分が、泳ぎが苦手だと言っていたが、みんな上手に浮いていた。
講習では「万が一溺れそうになった時」の対処法だけでなく、何よりも水難事故に合わないことが大切だとして、予防のための4つの約束を確認した。
①子どもだけで海や川に行かない
②管理されている場所で泳ぐ
③海や川、釣りにもライフジャケットを着用する
④大人は目を離さない
溺れている人を見かけたら、助けるために飛び込むのではなく
お・大人を呼び、119番通報を頼む
は・励ます(「浮いて待て。もうすぐ救助が来る」と声をかけ続ける)
し・静かに浮かぶものを投げる。ランドセルだけでなく、ペットボトルやクーラーボックスなども役に立つ。
といったことを行うことが大切だ。