3月から休校繰り返し生徒たちの体力が低下
この記事の画像(14枚)一生懸命、バドミントンに取り組む岡山聾学校中学部の1年生から3年生。
この日が、1学期最後の体育。
――体を動かすのは好きですか?
生徒:
好きです。体を動かすと、ストレスが外に出る感じがする
――今、運動はできていますか?
生徒:
できているが、新型コロナのせいで、部活動が減るなどして体力が落ちている
新型コロナウイルスの影響で、岡山聾学校でも、2020年3月から休校を繰り返し、通常授業に戻ったのは6月からだった。
この間、部活動もなく、家庭でも外出を控えていたため、生徒たちの体力の低下が心配されていた。
岡山聾学校中学部・有森聖教諭:
スポーツや運動をする時間や機会は減っていると、正直感じている。体力テストの結果を見ても、落ちている部分が多く見られた
生徒たちに効果的な運動の機会を…環太平洋大学の打ち出した新たな取り組み
こうした状況の中、生徒たちに効果的な運動の機会を与えてあげたいと考えたのが、岡山市の環太平洋大学の小玉京士朗准教授(39)。
環太平洋大学 体育学部健康科学科・小玉京士朗准教授:
長く続けるためには、楽しくやらないとできないと思いますので、楽しむことと、急にハードルが高くなっても続かないと思うので、入りやすいところからというのが、考えの中にはあります
体育学部を持ち、多くのアスリートを輩出してきた環太平洋大学。
もともと東京の病院でリハビリテーションに携わっていた小玉さんは、現在も、障害者スポーツ「シッティングバレー」の日本代表チームのトレーナーを務めている。
医療従事者を育成する健康科学科で受け持つゼミでは、2年前から、ろう学校の生徒の体力向上のために学生たちと運動を通じた交流を図ってきた。
しかし、3月以降、新型コロナの影響で訪問できなくなり、新たな取り組みに乗り出した。
直接の交流が図れない中、考えたのは、映像による運動指導。
ストレッチ・リズム運動・筋トレの3つをテーマに、学生たちが動きを考える。
学生:
体を動かす時に意識するのとしないのとでは効果が全然違うので、動画を見る人もポイントを意識してやってほしい
腕立て伏せができない人は膝をついて行うなど、生徒の体力に合わせ、運動の強度も変える。
中には、こうした交流がきっかけで手話を学んでいる学生もいて、運動の途中で、ろう学校の生徒たちに手話で「みんな、一緒に頑張ろう」とメッセージを送ることにした。
手話を学ぶ学生:
手で話すというのは、自分たちの中ではない経験で、手でコミュニケーションが取れるのは大切なこと
そして、いよいよ収録。音楽に合わせ動き、撮影が終わると映像の編集が行われ、聴覚に障害がある生徒のために、全編に字幕を入れた。
また、動画には、あえて大きめに音楽を入れることにした。
環太平洋大学 体育学部健康科学科・小玉京士朗准教授:
ボリュームを大きくすることによって、空気の振動が体にぶつかることによって、リズム感が取れるというところを、ろう学校の先生から教えていただきましたので
制作にあたった学生:
運動することは楽しいと思って、習慣づけてくれたらいい
制作にあたった学生:
1回だけでなく、長く続けてもらえたら、うれしいなと思います
「音の振動」や「字幕」で伝え 生徒たちが“エクササイズ”を体験
そして、実際に岡山聾学校の生徒たちに体験してもらった。
岡山聾学校の生徒:
今までの体操と違って、音楽もあって楽しくできた
岡山聾学校の生徒:
大学生が、わたしたちのことを思って作ってくれなかったら、こんなに楽しいダンスはなかったので、とても感謝しています
環太平洋大学 体育学部健康科学科・小玉京士朗准教授:
1つのことをやりきることによって、スポーツの楽しさとか運動って、すごいいいなというところを思っていただいて、それで、例えば課外とかでやっているところに参加ができる。要は、社会参加の要因になればいいかなと思います
コロナ禍での運動不足を解消しようと制作された今回の動画。
ろう学校の生徒にとって、運動をきっかけに社会参加につながることも期待される。
(岡山放送)