男子ハンドボール・日本代表チーム最年少の藤坂尚輝選手(日体大)は、福井・鯖江市出身の22歳。父親も兄もハンドボール選手という環境で育ち、国際舞台で戦える選手へと成長を遂げた。持ち味のスピードを生かし、初のオリンピックの舞台で活躍を誓う。
チーム最年少・唯一の大学生
6月28日、男子ハンドボール・日本代表メンバーの発表会見で、藤坂選手はチーム最年少の当時21歳で大学生から唯一選出された。報道陣を前にマイクを握った藤坂選手は、「ハンドボールを始めた時から夢だったオリンピックという舞台で、持ち味のスピードを生かして頑張りたい」と抱負を述べた。

鯖江市出身の藤坂選手は、ハンドボール選手だった父や二人の兄の影響で3歳からボールを触り、幼少期からチームの中心選手として活躍した。強豪の北陸高校(福井市)ではキャプテンを務め、現在は日本体育大学に在籍している。
身長は180cmと、選手としては小柄ながら初の日本代表の座を勝ち取った。「持ち味はスピードのある一対一。(選手の)間を割っていくプレーを見せたい」と意気込んでいる。
初戦で持ち味のスピードを発揮
22歳の誕生日である7月1日に、藤坂選手はパリオリンピック日本代表としての初戦に臨んだ。代々木第一体育館で行われたフェロー諸島との国際親善試合で、スタメンの司令塔として代表デビューを果たした。試合は開始早々、藤坂選手が自慢のスピードを見せつけた。
藤坂選手は「チームの先輩方からも一発目行って来いと言われた。思い切りできて、自分がやれることが分かって良かった」と試合序盤の状況を振り返り、「シュートを打った時に、おぉーっという声が聞こえてうれしかった。小さくても間を割っていけるプレーを見せられてよかった」と話した通り、この試合でチーム最多の5得点を獲得し、バックパスでアシストも決めるなど、堂々としたプレーを見せた。
しかし、試合終盤でパスミスから失点。「終盤にかけてのちょっとした簡単なミスが当たってしまったので、しっかり修正して、周りとコミュニケーションを取っていきたい」と課題も見つかったデビューとなった。
試合後、オルテガ監督は藤坂選手の印象について「藤坂はいいプレーをしたが、決断でミスもあった。まだ経験がないだけで、これから素晴らしい選手になっていくだろう」と期待を込めた。
「両親を喜ばせられるのは自分だけ」
藤坂選手に福井への思いについて聞くと、「帰省した時に所属していたチームに顔は出しているので、福井で毎日頑張っている後輩たちに刺激になるようなプレーをしたい」と話した。

藤坂選手は、ハンドボールの実業団で活躍した父親や、同じくハンドボール選手の兄というハンドボール一家で育った。「2024年で兄(知輝さん)も現役を引退して、ハンドボールで両親を喜ばせられるのは自分しかいない。今までの感謝の思いを込めてやっていきたい」と支えてくれた家族への思いも語った。
県民に向けては、「福井や日本のハンドボール界をもっと盛り上げられるように、パリで活躍してきます!応援よろしくお願いします」とメッセージを送ってくれた。
元チームメートが語る藤坂選手の実力
先日、地元の鯖江市で行われた激励会で藤坂選手の父親・明雄さん、高校時代の監督、元チームメイトに藤坂選手の人柄について聞いてみた。

明雄さんは「小さい時から『両親をオリンピックに連れていく』と約束をしていたので本当にびっくりしている。負けず嫌いなのを内に秘めていて、小さい時から大事な大会になると何をするか分からないプレイヤーなので、ワクワクするようなプレーを見せてほしい」と話した。

北陸高校ハンドボール部の福村正巳監督は、藤坂選手の人間性を「普段はかわいらしい生徒で、プレーとは真逆のようなタイプ」と話した上で、「ハンドボールに正面から向き合っていたし、誰よりもストイック」とプレーの印象を語り、「後は思い切りやるだけ」とエールを送った。

また、元チームメイトも「先輩をいじってくるが、かわいげがあり、憎めない存在」としつつも、やはりプレーの面では「対戦すると、目の前から消えるぐらい速い選手」と一目置いている。
パリオリンピック男子ハンドボールは、日本時間の7月27日から予選が始まる。
(福井テレビ)