7月12日から開幕する、夏の高校野球福島大会の注目校を紹介する。
3回目は、磐城農業高校。コールド負けが当たり前だったチームを、少しずつ変えてきた監督が定年を迎える。特別な「最後の夏」を「もう1勝」で飾るための戦いがはじまる。
目指すは夏の大会6年ぶりの勝利
農業高校らしいウシの鳴き声が響くなか、野球部の練習が始まる。マネージャーを入れて部員18人、目指すのは「夏の大会6年ぶりの勝利」だ。

渡邉雄平主将は「楽しいというか、ワクワクしている気持ちもあれば、少し不安が残っている。でも最後まで悔いなく頑張ろうという気持ちでやっています」と話す。

60歳…監督 最後の夏
そして2024年は、どうしても勝利を贈りたい相手がいる。それが、定年を迎える郷家邦博(さといえ くにひろ)監督。2022年秋に監督に就任し、2024年は選手たちと迎える「最後の夏」となる。

郷家監督は「久しぶりに3年生中心のチームが組めというところで、最後の夏に1勝できる可能性をすごく感じるっていうところまで、やっと来たかなと思います」と話した。
監督の教え 自ら考え行動する
郷家監督が大事にするのは「選手達とのコミュニケーション」だ。
「毎月、目標管理シートっていうものを書かせている。具体的に自分は自主練を、いつどこで何をやるかっていうのを書けばやるでしょうと」と郷家監督はいう。

目標のために自分がいま何をすべきかの「目標管理シート」や、それを伝えるために「語彙力を磨くテキスト」などを取り入れ、選手たちには自ら考え行動することを、高校野球を通して身に着けてほしいと願っている。
チームを勝利に導く
郷家流の指導は、これまでコールド負けが当たり前だったチームを少しずつ変えていった。
2024年6月にいわき市で開かれた大会で、磐城農業高校は初戦9回裏に逆転サヨナラ勝ち。選手たちにとっては、高校野球人生で初めてつかんだ公式戦の勝利だった。

渡邉雄平主将「いつもならベンチの前で、相手のチームの校歌を歌っているところを見ることしか出来なかったが、スコアボードに向かってみんなで校歌を歌うことができて、すごく嬉しい気持ちになった」と振り返る。

郷家監督は「勝つことの楽しさであったりとか、努力しているってことの報われ方であったりとか、そこに気がついてくれたかな。気付かせてあげることが少しできたかなと思っている」と話した。
あの喜びをもう一度
監督と挑む最後の夏を、笑顔で飾れるよう毎日の練習を大事に積み重ねる。
渡邉主将は「世間では当たり前に、白河高校が勝つと思っていると思うが、そこをひっくり返して、またもう一度、横一列で校歌を歌えるように。郷家先生のためにも“もう1勝”プレゼントできるように頑張っていきたい」と語った。

磐城農業高校の初戦の相手は白河高校、6年ぶりの夏の勝利なるか注目だ。
(福島テレビ)