2024年7月2日、東京ドームで開催された福岡ソフトバンクホークスの主催試合“白のキセキ”。観客席が白のユニホームで埋まったなか、先発出場した栗原陵矢選手は、先制タイムリーを含む3安打猛打賞の活躍を見せた。
お立ち台では「明後日(4日)、僕の誕生日なので、また7月、連勝できるように頑張ります。応援とおめでとうを待っています」と、バッティングもコメントも絶好調の栗原選手。28歳の誕生日の7月4日に直撃インタビューした。
チームを支える28歳 打点量産中!
開幕当初は調子が上がらなかった打撃も、5月に入ると一転、月間MVPを獲得する“無双状態”となった栗原選手。柳田悠岐選手(35)がケガで離脱後は3番を打ち、クリンアップの一角で存在感を見せている。

5月の月間打率は3割7分3厘、3本塁打の活躍で自身初の月間MVPを獲得すると、6月は本塁打4本、7月に入っても好調キープし打点量産中だ。チームを支える中堅の28歳は、ノリに乗っている。

栗原選手は、「やっぱり、山川(穂高選手=4番)さん、近藤(健介選手=5番)さんが後ろにいて、結局、自分が“勝負”される立場になりましたし、ただやはり後ろにつなぐ役目っていうのがすごく大きいなと思います」と現在の状況を自己分析する。

しかし、開幕直後の3月、4月は極度の不振だった。「なにか、やることやることが、うまくいかなかったので、最終的にどうしようかなという毎日だった」と振り返る。
復調のきっかけは“凡打”?
開幕時、栗原選手は6番、7番で起用されていたが、4月終了時の打率は2割1分3厘と低迷し、本塁打もゼロだった。

2022年は左膝の前十字靭帯断裂、2023年は右手の有鈎骨(ゆうこうこつ)骨折と大きなケガが続いた栗原選手。開幕時の不振の原因は、度重なるケガによる影響があったのか尋ねると、「(不振の原因は)身体じゃないと思いますね。自分の打撃スタイルであったりとか、スイング軌道がやっぱりおかしかったりしたのかな」と話す。

開幕から苦しみ続けた1カ月。復調のきっかけは5月の最初のゲームだった。その転機について栗原選手は、「スタメンで出てなくて、代打で出た試合です。あの楽天戦が一番変わったときかなと思います。変わる“凡打”がありました」と振り返る。

5月1日の東北楽天ゴールデンイーグルスとの試合。栗原選手はこの日、今シーズン初めてスターティングメンバ―から外れた。
試合は、序盤にリードを許すが7回、1点差に迫り、なおも1アウト3塁の場面。ここで栗原選手は代打で登場した。

「ファウルを1本打って、次の真っすぐを空振りしたときに『もう、これ打てないな、これじゃ打てないな』と。これは『いまやっていることを変えないといけないな』って思った試合でした」と振り返った栗原選手。この打席、結果はボテボテの内野ゴロ。3塁走者を本塁に返し1点を取ったものの、このときの“凡打”が、それまでの打ち方を見直すきっかけになったという。
「打点王を取りたい!」
日本を代表する打者が4番、5番に座るホークス。

その存在について栗原選手に聞くと「いつも試合後の練習で、近藤さんと一緒に打たせてもらうんですけれど、そこでは山川さんも一緒に打っていて、近藤さん、山川さんから『きょうベンチから見ていて、こう思ったよ』っていう話をされて。それで僕も『あぁ、こっちの感覚が良かったな』って思ったりします」と、2人からのアドバイスを参考にしているという。

そのアドバイスの結果なのか、バッティング見直し後は打率も急上昇。柳田選手の離脱後は3番クリンアップの役目をしっかり果たしている。
7月4日現在、打点がパ・リーグで3位。栗原選手は「打点はね、やっぱりでも僕1人じゃどうしようもできないので。やっぱりランナーを返す、そういうチャンスで多く回してもらっているというのもありますし、ありがたいです」と笑顔で答える。

タイトルを取りたいかという最後の質問に「取りたいですねタイトル。(どのタイトル?)打点王取りたいですね。(打率じゃなくて?)打点を取りたいですね」と栗原選手は力強く答えた。
ペナントレースもいよいよ後半戦。栗原選手にとっても正念場の夏を迎える。
(テレビ西日本)