文部科学省は12日、全国の給食に関する調査結果を発表した。3年前と比較すると給食費は5%ほど上がっているが、「給食が少ない!」そんな声も各地で上がっている。

【動画】「学校給食が少ない!」 給食費は5%ほどアップも…“物価高”で追いつかず 学校も業者も悲鳴 

■給食の量が「少ない」 背景には物価高

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「おかずが少なすぎます。おかわりしたくてもできない時も多々あります。お腹をすかせて帰ってきます」。ことし1月、保護者から大阪市に寄せられた悲痛な声。

唐揚げは1個、豆のおかずも2粒…。量を増やすよう市に要望があった。

うした「給食が少ない!」という声は全国でも。SNSに投稿された給食の写真を見ると、大きな皿に小さなおかずと野菜スープ、そして白ご飯の3品だけ。

小学生の子どもをもつ母親は…
小学生の子を持つ母:子どもに『きょうの唐揚げどうだった?』って聞くと、『ちっちゃな唐揚げが3つだった』とか、『シュウマイが1個だった』って。そういう日は、息子も『足りなかった、さみしかった』って言います。一汁三菜だとか国が言う食育からは、かけ離れているんじゃないか。

 奈良市では量が少ないだけではなく、必要な栄養量に満たない給食も提供されていた。

奈良市議会議員 森田一成議員:摂取カロリーは文科省の基準を満たせておらず、現場の調理員からも危機的な状況の中で、何とかやりくりしているという切実な声が届けられている。

この問題の背景にあるのが「物価高」だ。

12日、文部科学省が発表した調査によると、小中学校の給食費の1カ月の平均額は2022年の調査結果と比べると5%ほど上がっている。

大阪市は去年から物価高の影響で、給食費をあげたと説明しているが、街の人からは「量が少ない」という声が。

小学生の子を持つ母:これから高学年なるにつれて、あの量やったらちょっと少ないなって。

小学生の子を持つ母:『ほぼパンとジャムがメイン』って感じで、(子供は)言ってたんで。肉とか魚とか豆腐とか、もうちょっと増やしてあげてほしいなって。

こうした声に大阪市の横山市長は…

大阪市 横山英幸市長:真摯に受け止めて、給食の改善に取り組んでいきたい。大阪は将来世代への投資を進めます。小学校中学校も給食無償化していますし、国の方でもこの施策を取り入れてほしい。

「予算の範囲内でより良い給食になるよう努める」とした一方で、全ての自治体で給食を無償化するよう国が対応してほしいと述べた。

■食品の卸会社では「予算削るとなったらデザート」「自治体、企業努力では難しい」

この状況に現場はどう対応しているのだろうか。

兵庫県姫路市にある食品の卸会社では、学校給食用には、毎日、関西を中心に100万食分の食材を納めている。

各自治体が提案してくる献立をもとに、季節の行事や地元産の食材を意識するなど、「食育」につながる食材を提供しているという。

泉平学校給食事業部 角石鎮人部長:9月のお月見の日につく月見団子、3月にはひなあられ。昔からの食文化と慣習が薄れている中で、食材を通して食文化を学んでいく目的もある。

肉が高いので、ひき肉を大豆製品に替えるなど対応をしているが、物価高もあり、一食、小学校で260円前後、中学校で300円ほどの限られた予算内でのやりくりは、苦しくなっている。

泉平学校給食事業部 角石鎮人部長:例えばコロッケが1円、2円上がるだけでも、非常に苦しいのが現状。ご飯とか牛乳とかメインのおかずは外すことはできないので、結局予算を削るってなった時に、削られるのが例えばこういうデザートとか。このまま食材が上がり続けていくと、なかなか自治体さん単体とか、われわれ業者の企業努力だけでは、実際、厳しい部分は多々ある。

子どもの発育に欠かせない給食。どうすれば満足のいくものが届けられるのだろうか。

■給食は「もともと限られた条件の中で工夫してやりくりしている」

物価高の中で、給食費が高騰している。番組コメンテーターで前尼崎市長の稲村和美さんはこのように話す。

前尼崎市長 稲村和美さん:急激に物価高が進むとどうしても対応のタイミングがずれてしまうというところもあるかと思います。ただ文科省の実態調査は定期的にやっています。無償化というニーズも高まっていく中ですが、給食はもともと限られた条件の中で、みんなが本当に工夫して、やりくりしてる分野なんです。物価高の影響が決して、発達途上にある子供たちの栄養価に影響を及ぼすことがないように、調査結果をしっかりと踏まえて対応して行くことが、重要だと改めて思いました。

こうなると、自治体としてどういうふうに、やりくりするのかというところは腕の見せどころになる。

前尼崎市長 稲村和美さん:その通りですし、国の全体の支援のあり方も、子育て支援が、今これだけ求められている中で、重要になってくると思います

そして、給食業者も悲鳴をあげている現状だ。

関西テレビ 加藤さゆり報道デスク:『価格高騰で限界だ』という声がありますけれども、ひとつ注目されたのは去年9月にも、広島の給食業者がコロナの影響もあったと思うんですけども、物価高の影響で『今の入札金額では、もうやりくりできない』と、給食の業務を停止し、地域の給食が一気に止まってしまったことがあり、問題になりました。やはりその時に、わたしたちも物価高の影響というのは、そういう業者さんにもいっていて、わたしたちの生活だけじゃなくて、ひいては“食育”にも影響するということが分かりました。

育ち盛りの子供たちの健康を守る、いまある給食の形を守るための議論も進めていってほしい。

(関西テレビ「newsランナー」2024年6月12日放送)

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