天台宗の男性僧侶から「坊主に逆らうと地獄に落ちるぞ」と脅され、十数年にわたり性暴力を受けたと訴えている女性に対し、天台宗が2度目の聞き取り調査を行った。
女性は、聞き取り調査の担当者に男性僧侶らと親しい間柄の人物がいるため、7日天台宗に対し『外部による調査』を求めている。
■14年にわたり寺で繰り返された性暴力

四国に住む50代の尼僧、「叡敦(えいちょう)」さんは、四国にある天台宗の寺の60代の男性僧侶に2009年から、およそ14年間にわたって性暴力などを受けたと被害を訴えてきた。
叡敦さんは、男性僧侶に毎晩髪をそられ、尼僧として寺に住まわされたという。
■自らを『観音様の身代わり』 「エッチで悩んでいる人がおったら、代わりにお前がエッチしてやらなあかん」と脅す

叡敦さんによると男性僧侶は、自らを『観音様の身代わり』だと言い、「坊主に逆らうと地獄に落ちるぞ」などと脅して心理的に支配し、性暴力や恫喝を繰り返していた。
この男性僧侶が叡敦さんに言い放ったとされる「仏さんはエッチはしてくれんよ。エッチで悩んでいる人がおったら、代わりにお前がエッチしてやらないかん」という内容の音声データも残されている。
■親戚の大僧正は対応せず 男性僧侶と大僧正の僧籍「はく奪」を申し立て

敦さんは親戚で関西の80代の大僧正から、この男性僧侶を紹介された経緯があったため、大僧正に被害を相談するも「公になったら困る」などとして、取り合ってもらえなかったという。
こうしたことから、叡敦さんは男性僧侶と大僧正の僧籍をはく奪するよう天台宗に申し立てている。
■天台宗の調査 2人と親しい人物出席 公平公正な「外部調査」を求めて上申書を提出
天台宗は事実確認のため、ことし3月から本格的な調査に乗り出し、関係者への聞き取りを行っていて、叡敦さんに対して6月7日に2度目の聞き取り調査を実施した。
しかし叡敦さんによると、調査を行う担当者の中に、男性僧侶と大僧正の2人と親しい間柄の人物がいるということだ。
さらに、その担当者は叡敦さんに対し「性被害を受けたのであれば配偶者に相談するはずである」など自身の思い込みに基づく持論を押し付けるなど、2次加害ともいうべき聞き取りを行ったという。
叡敦さんは「2人と親しい人が調査役では、偏見や思い込み、無意識の保身などにより、到底公平公正な調査は実施できない」として、『第三者委員会』など天台宗から独立した立場の人が担う調査を求める「上申書」を天台宗に提出した。
■「聞き取り調査は全て男性。突っ込んだ話ばかりだったので、代理人にフォローしてもらいながら、なんとか過ごした」

叡敦さんは、2度目の聞き取り調査を終えた後の記者会見で以下のように述べた。
叡敦さん:告発するだけでも非常に大変でした。告発した後も調子は崩しましたが、やはり聞き取りの後も非常に体調を崩して、実際点滴に通ったりですとか、調子はずっと崩しておりました。
叡敦さん:きょうも途中で何度か調子が悪くなりそうで、もう何とか休憩をとって頂いたりしながらやりましたが、やはり聞き取りをする方も男性なので、きょうは特に非常に性暴力に関しての具体的なほんとに突っ込んだ話ばかりだったので、何度も何度も代理人にフォローをお願いして、なんとか過ごしました。
(関西テレビ 2024年6月7日)