物価の上昇などにともなう措置として、6月から年金支給額が2.7%増えるが、物価の上昇には追いついておらず、街の年金受給者からはさまざまな声が聞かれた。
6月から年金支給額が2.7%アップも…
東京・巣鴨にある年金生活者が集まるカラオケバーでは、きょうも渋い歌声が響いていた。

年金生活者:
ここに来るのが一番楽しい。ここしかないよ。救いの神だよ。

多くのお年寄りが楽しみに待つ年金支給。
6月からは受け取れる額が増えるという。
物価の上昇などにともなう措置で、6月の支給分から2.7%アップ。

自営業者らが受け取る国民年金は、これまで月額約6万6000円(2023年度)だったが、6月の支給から1750円増え、月額約6万8000円(2024年度)となる。

厚生年金は夫婦2人のモデル世帯で、これまで月額約22万4000円(2023年度)だったが、6月の支給分から月額約23万円(2024年度)となる。
街の年金生活者は…
年金生活者に2.7%の増額について聞くと、歓迎の度合いには差があった。
年金受給者(年金額月額10万円以下):
そんなの上がったうちに入んないですよ。10%ぐらい来なくちゃね。この物価高だからね、2%なんて笑い話だよ。
70代(年金額月額約7.5万円):
そんなにいただけるの?そんなにになるのね。そのくらいになるの?それだけか。
私はちょっと気持ち的に余裕が出て、ちょっとおいしいものをチラッと買えるかもしれない。
70代(年金額月額20万円以上(夫婦)):
とてもうれしいです。またこれから公共料金が上がるらしいので、どうしたらいいんだろうと思っちゃいます。
部品の高騰で自転車専門店の客は激減
東京・新宿区に店を構える自転車専門店。
店主の1月の年金は月額約8万円だが、年金だけでは生活が苦しいため店を続けているという。

自転車店の店主:
年金が足らないのでまだ仕事をしています。
店主は2.7%の年金アップよりも、それを上回る物価の高騰を痛いほど感じていた。
自転車店の店主:
2.7%…。物価はもっと上がっているので、自転車の部品やなんかも下手すると2倍ぐらいになっているんです。だからお客さんも減るし今大変ですね。
部品の高騰で修理代が上がったため、客が激減。
5月は初めからの2週間近く、1人も客が来なかったという。
頼みの綱である店の売り上げがほとんどない中でのギリギリの年金生活。

自転車店の店主:
いろいろな支払いをしちゃうと本当に残らない。でもなんとか生き残っているかなって。
バブル期以来、最高の伸び率となる年金額。
しかし専門家は、物価上昇に追いついておらず、実質的な支給額は目減りしていると話す。

関西大学・宮本勝浩名誉教授:
国民年金の人は、月に300円もらえる予定の年金がもらえなくなりますし、厚生年金の人は月に900円減ることになるんですね。年金制度を長く続けるために、できるだけ年金を抑えましょうねという制度なんですよ。年金生活にとってはかなり厳しいですねということになりますね。
(「イット!」5月31日放送より)