埼玉県川口市で、タクシー運転手が男に拳銃のようなもので撃たれた事件。

男は現在も逃走中ですが、現場から南西に100mほどの場所に設置されていた防犯カメラに、発砲事件直前のタクシーと、事件直後の緊迫する様子が捉えられていました。

事件当日の29日、午後11時ごろ。脇道から現れたタクシーが右折して行く様子が映っています。映像をよく見ると、その後部座席には逃げた男とみられる人物の姿が。

その後、通りを直進し、再び右折した約40秒後…。「パン!」と発砲音とみられる乾いた音が聞こえます。

さらにその約20分後の午後11時55分ごろには、緊急車両が到着。隊員たちが現場に向かう様子が映っていました。
住宅街で“発砲” 逃げた男の行方は?
タクシーという密室で起きた事件。
発砲した男は、東京・北区の赤羽駅周辺で客としてタクシーに乗り込み、運転手に対して埼玉県川口市の現場近くに行くよう指示したといいます。

そして、タクシーから降りる際、「金を出せ」などと要求。後部座席から運転席に向けて発砲したとみられています。

捜査関係者によると、男は運転手を撃ったあと、南の方向に逃走。犯人らしき男を目撃した人によると、男は逃走する際、早歩きだったといいます。
JR川口駅から北に400mほどの場所にある現場。周辺には小学校や幼稚園もある閑静な住宅街です。なぜ男はわざわざ住宅街へタクシーを向かわせ、発砲に及んだのでしょうか?

「めざまし8」は、元警視庁刑事の吉川祐二氏と共に現場を取材しました。

元警視庁刑事 吉川祐二氏:
(夜の)11時半となりますと、まだまだ電車が走っている時間帯。
今もちょうど電車通りましたけども、ある程度の音がします。そのことから、この電車の音で(銃声が)かき消される。これから自分が行おうとしている騒動をかき消すことはできるという考えもあったかもしれませんね。

吉川氏は、電車の音で、発砲音などをかき消せる場所を選んだ可能性もあると指摘。さらに…。

元警視庁刑事 吉川祐二氏:
ここから見る限り、逆に先が見通しが良すぎて、犯人が警戒するんではないかという考えもあるんですけども、ある程度行った先が見えていますから。片側しか家が見えていない…。
ですから、ここで瞬間的に犯行を犯してしまえば、逃げることが可能かもしれない。この付近の土地勘、またその生活環境、生活状態なども把握していたということも考えられます。この付近に、潜伏するような場所があるという可能性もあると思います。

逃げた男は、土地勘もあり、近くに潜伏先がある可能性もあるといいます。

元警視庁刑事 吉川祐二氏:
タクシー強盗に拳銃を使うというのは、あまり聞いたことがないですね。まして、それを最後に発砲するということ。そこまで考えると、あまり見聞きしない今回の事案ですね。
相当犯人も慌てていたということも考えられます。冷静な対応ではなく、慌てていたので、とにかく騒いでいるから収めなきゃいけないということで、拳銃を発射したと…。
(タクシーが)持っているという金額というのは、わずかとは言いませんけれども、数万円であると思います。
売上と釣り銭合わせて数万円。それでもタクシーを狙ったということから考えると、目先のお金が欲しかった。目先のお金を取りたかったという考えからの犯行ではないでしょうか。

捜査関係者によると、車内からは薬きょうが1つ見つかり、小銭も散らばっていたといいます。警察は現金が奪われた可能性もあるとみて捜査しています。

元警視庁刑事 吉川祐二氏:
タクシーというのは本当に不特定多数の人が乗る乗り物ですから、いろんな人のものが落ちている。その中から選別していかなければいけないので、細かい綿密な鑑識活動が必要だと思います。
68歳の男を公開手配
31日、警察は強盗殺人未遂の疑いで、職業不詳の瀬川好一(せがわ・よしいち)容疑者(68)を公開手配しました。

警察によると、瀬川容疑者は身長175cmくらいで中肉中背。犯行後に川口市内の防犯カメラに映った瀬川容疑者の映像も公開しています。
(めざまし8 5月31日放送)