長崎県・大村市で19日行われた中学校の体育祭で突然つむじ風が発生し、大きなテントが吹き飛ばされた。砂煙で視界は閉ざされ、机や椅子は散乱、テントが飛ばないよう押さえていた2人が軽いケガをした。

つむじ風はどのような気象条件で発生するのか、日本気象協会の樋口康弘気象予報士に聞いた。

車が横転するほどの上昇気流

ーーつむじ風とは?

つむじ風というのは、強い上昇気流の渦巻きです。気象学的には「塵旋風(じんせんぷう)」といいますが、旋風というのは“風が吹き荒れる”という意味で、過去には車が横転したこともあり油断できません。発生したらまず近付かないというのが大前提で、可能だったら頑丈な建物の中に避難することが1つの予防策です。決して「かわいい渦巻きだな」というふうには思わないでください。

日本気象協会・樋口康弘気象予報士
日本気象協会・樋口康弘気象予報士
この記事の画像(4枚)

ーー体育祭中に発生したためテントを押さえる人もいたが?

それはとても危険な行為です。テントは飛ばされやすいので、つむじ風が発生したらテントから離れることが大原則です。上昇気流によってテントだけでなく、支えている人まで持ち上げられてしまう可能性があるため、つむじ風が発生したらテントに触らずつむじ風から逃げてください。

つむじ風は「天気が良い日に発生」

つむじ風は春から夏にかけて、気温が上がり空気が乾燥している日に特に注意が必要だと樋口気象予報士は指摘する。

つむじ風に飛ばされたテント(視聴者撮影「ビデオPost」より)
つむじ風に飛ばされたテント(視聴者撮影「ビデオPost」より)

ーー竜巻とつむじ風はどう違う?

竜巻は積乱雲の下で発生するものですが、つむじ風は晴れた日に、気温が上がって上昇気流が発生した時に起きます。ですから、つむじ風は「天気が良い日に発生する」と覚えていてください。

春から夏にかけて起こりやすく、地面が乾燥していると、より上昇気流が起こりやすくなるので、晴れて気温が上がって空気が乾燥している日は是非注意していただきたいと思います。

局地的に被害をもたらすつむじ風(視聴者撮影)
局地的に被害をもたらすつむじ風(視聴者撮影)

ーーつむじ風から逃げられない環境だったら?

周辺に逃げ込める建物がない場合は、つむじ風の進行方向と反対側に逃げてとにかく離れることが大事です。

竜巻は予兆が結構ありますが、つむじ風は予兆がありません。突然発生して、突然暴風を吹き荒らして、突然消えるという感じで動きが読めません。上空の風だけでなく、地形の影響もあるため、どっちの方向に進んでいくか読めないのがつむじ風の特徴です。