安倍、小泉に小沢か
平成の政治家の中から3人選べと言われたら、安倍晋三、小泉純一郎まではスッと出るのだが3人目は迷う。石原慎太郎か菅義偉か、それとも小沢一郎か。
小沢一郎氏の一番好きなところは「ブレない」こと、そして「愚直」なことである。それは81歳になった今も変わらない。14日、所属する立憲民主党が政治改革案として掲げている企業団体献金と政治資金パーティーの全面禁止に異議を唱えた。
この記事の画像(5枚)「企業が悪だという前提に立っている」とした上で、「反対だ。何を馬鹿なことをやっているんだ」と執行部を批判し、「自由なところは自由にし、全部公表すれば良い。いいか悪いかは国民が審判する」と述べた。
小沢は立憲も自民も批判する
これは小沢氏の言う通りだ。立憲は「高い球」を投げているがこれに対して自民からは「立憲も本音は自民に止めてほしいんだろう」(自民幹部)などと見透かされている。
一方の自民も企業献金の「政治的自由」を主張するのはいいのだが、もうすこし透明化しないと国民は納得しない。小沢氏の発言は立憲批判にとどまらず自民党にも向いているのが大変よろしい。だが今回の結末は小沢氏の言うようにはならないような気がする。
さてブレない小沢氏の口癖とも言えるのが「野党統一候補」だ。先日も「今の野党のままでは自民党は過半数すれすれを取る」とした上で、「でも野党がちょっとでもまとまれば絶対に勝つ」と断言した。
立憲は共産党も含め「野党統一候補」を模索してきたが、2021年の衆院選で失敗して以来共産とは距離を置いてきた。だが4月の補選の3戦全勝はいずれも共産の支援を受けたものであり、党内からは「やはり共産と組むと強い」という声が上がっている。
3度目の天下は取れない
だが共産など左派だけと組んでも政権は取れないことは明らかで、小沢氏も維新との共闘を主張している。ただ立憲の中でも保守派は維新と組めるだろうがリベラル系はなかなか難しく、むしろ共産の方が政策の接点は多いはずだ。
小沢氏は1993年の細川政権、2009年の鳩山政権と、2度自民から政権を奪った。停滞していた政治を2度も打破し、新しい政治の形を示したことは評価すべきだと思うが、一方で数ありきで政策の調整ができずに破綻した、壊すだけだった、などの批判も甘受すべきだろう。
12日に行われた旧民主党の輿石東元幹事長の出版記念会のパーティーでのこと。自民の麻生太郎副総裁は「(輿石氏には)立憲の泉代表をしっかり指導してもらいたい」と述べて余裕をかましていたが、小沢氏は「自民党政権はようやくほころびが見え、崩壊の日は近い」と変わらず「愚直に」しゃべっていたのが印象的だった。
小沢氏は3度目の天下取りを狙っているのだろう。だが維新と共産と同時に組もうと思っているのならそれは無理だ。なぜならいくら数は合っても政策が合わなければ政権は早晩崩壊する、ということは小沢氏が我々に教えてくれたことではないか。