難病を抱え手術で声を失うかもしれない大学生の思いに、東京の企業が協力しアプリが開発された。
今後もし声を失ったとしても、本人の自然な声で会話ができるアプリが完成し届けられた。

筋肉が固まる進行性の難病を患う大学生

熊本市の大学4年生・山本栞奈さん(26)は、筋肉が固まる進行性の難病を抱えながらも、社会福祉士を目指し、大学に通っている。

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現在、人工呼吸器を着けていて、今後、病状が悪化した場合、呼吸を確保するための気管切開手術が必要となるが、手術をすれば声を失う可能性がある。

そこで約1年前、栞奈さんが声を失っても、会話ができるアプリの開発がメディア事業を展開する東京の企業「サイバーエージェント」の協力で始まった。

録音された栞奈さんの声のデータをもとにアプリに入力された文章をAIが解析・判断。自然なトーンやアクセントで栞奈さんの「声」で読み上げる。

サンプル音声を聞いた、栞奈さんを支援するハッピーブレインの池田竜太代表は「いつも聞く(栞奈さんの)声だなと思う」と話した。

開発に当たっては栞奈さんがサンプルの音声を聞いて、イントネーションの違和感などが改善された。

「HeartMelody」心の声を歌うように伝えるアプリ

山本栞奈さん:
ドキドキしているというのと楽しみと…。自分の声を聞くのは恥ずかしいけど違和感なく聞けたらいいなと思う

アプリの名前は「HeartMelody」、心の声を歌うようにそのまま伝えられたらという思いが込められている。

アプリの音声:
この度は約1年間、このプロジェクトにご協力いただき、ありがとうございました
山本栞奈さん:
すごい、自然

親しい人と話すような「雑談風」と、かしこまった場で話すような「アナウンス風」の2パターンの話し方を使い分けることもできるという。

開発に携わったサイバーエージェントの門倉晴美さんは「とても素敵な声なので、残すことに貢献させて頂いたことも大変喜ばしい。体調面で声を出すことが苦しいときにも素敵な声を届ける一助になっていければいいなと思う」と話した。

栞奈さん「一つでも笑うことができたら」

山本栞奈さん:親から授かった命と声なので大事にしたいと思って。声を残せてよかったなあと思う。話すことと笑うことが取柄と言っていいぐらいなので、辛いこともたくさんあると思うけど、きょうよりあした、一つでも笑うことができたらいいなと思っている

いつかその声を失う日が来ても、栞奈さんの言葉は多くの人に元気と勇気を届け続ける。

(テレビ熊本)