共働き世帯が増える中、子育てと仕事の両立に職場の理解は欠かせない。とは言え、子どもは病気やけがをすることがよくあるものだ。そんな時、仕事の関係で看病できない保護者に代わり、子どもを一時的に預かってくれるのが「病児保育施設」だ。
「長期間の休みの調整は難しい」
3月13日、愛媛・松山市山西の三葉幼稚園に、病児保育施設「三葉病児園」がオープンした。
この施設には、看護師1人と保育士3人が常駐。松山市のほか、中予エリアに住む1歳から小学6年生までの子どもを、事前予約制で最大6人まで受け入れている。
看護師も常駐していることから「安心して預けることができる」と子どもの母親は話す。
この記事の画像(9枚)母親:
インフルエンザで熱は下がったんですけど、出席停止の期間がどうしても長いので、その間ちょっと預けられるところが難しくて。なかなか連続して休むとなると調整が難しいこともあるので、非常に助かりますね
インフル対策でガラス張りの個室も用意
この日は、子ども3人がやって来た。
保育士「お母さんにお話聞くから、お靴脱いで先生にお熱を計ってもらおう」
母親「いってらっしゃい。頑張ってね」
預かる前には看護師が検温や酸素濃度などを測定し、子どもたちの体調をチェック。病状や服用している薬なども保護者から細かく聞き取る。
利用料は子ども1人あたり1日で最大2000円だ。
この施設では、インフルエンザなど感染症にかかった子どもたちのためにガラス張りの個室も用意されており、子どもたちの様子も逐一チェックすることができる。
看護師:
お子さんがせきをしたりとか、どういう呼吸をしているのかも観察の一つになるので、できるだけ朝は一緒にいるようにしています
母親:
病気の時に見てもらう人がいない時にはすごく助かります。おじいちゃん、おばあちゃんも、きょうは都合が悪かったので。子どもも私も安心します
1歳から保育園・幼稚園に来ている子どもたち。“自分が病気になると母親が仕事を休む”ということを気にする子どももいるのだという。
三津幼稚園・古森宏子園長:
お仕事してるお母さんは肩身が狭いですし、症状が軽い子だったらお預かりしてあげたらお仕事も出られる。子ども自身も1歳から保育園・幼稚園に来てるので、「お母さんが病気になったら仕事を休む」ことを気にしてる子もいるみたいで。働いてらっしゃるお母さんが安心して仕事ができる。そして先生たちがお母さんの「よき理解者」であることを一番に考えます
市内全5地区すべてに設置可能へ
園がオープンしてからの2週間で、すでに20人ほどが利用。
共働き世帯が増える中、松山市も「病児保育」の必要性を感じている。
松山市保育 幼稚園課・西山佳那主事:
実際に保護者の方からも「病児保育を利用したい」というお問い合わせはよくかかってくるので、利用のニーズは高いと思っています
新型コロナの影響で、2020年度には約1700人まで落ち込んだ利用者数が、2023年度は約4000人と、徐々に持ち直している状況だという。
松山市はこれまで、中心部と南部、東部の3カ所の医療機関で病児保育を受け入れてきたが、今回初めて西部地区の保育施設に事業を委託。2024年度には、新たに北部にも病児保育施設を開設する方針だ。
冬場の風邪などが流行する2024年の秋頃までに受け入れを開始する予定で、これにより、市内全5地区すべてに設置が可能となる。預かり可能な定員も増加するため、子育て世帯がより利用しやすくなると考えられる。
愛媛県によると、県内では現在13の市町に医療機関や保育園などに併設した病児保育施設が整備されていて、2023年度は1万人を超える人が利用したということだ。
若い世代が、県内で安心して子育てと仕事を両立できる環境をつくるため、そのニーズはますます高まりそうだ。
(テレビ愛媛)