沖縄県内の小売業の競争が激しくなっている。

2024年3月、全国に展開する食品専門スーパーのロピアが那覇市に県内1号店をオープン。この夏には南城(なんじょう)市で会員制の大型量販店・コストコの開業も控えている。

なぜいま、県外のスーパーマーケットが相次いで沖縄に進出するのか、その背景や独自の戦略を取材した。

ロピア最大の強みは「お肉」

観光客で賑わう那覇市安里の国際通り沿いに、県内で初めて出店した食品専門スーパーの「ロピア」。

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午前10時の開店と同時に、多くの買い物客が詰めかけた。

那覇市から来た客:
安くてびっくりしています。1週間に1回ぐらい来たいです

南風原(はえばる)町から来た客:
お肉がおいしいし、安いと聞いたので。国産だったり品質が良さそうなので、とても助かるなと思ってバックまで買っちゃいました

沖縄テレビ 大城良太アナウンサー:
ロピアの最大の強みは「お肉」です。ここ一体すべて精肉売り場になっており、売り場面積のおよそ20パーセントを占めています

1971年に精肉店からスタートしたロピアは、問屋を介さずに独自の目利きで全国から肉を仕入れているため、品質の良い肉を安く提供できるのが強みだ。

沖縄進出で地元スーパーとFC契約

メインターゲットは「30代から40代の子育て世代」で、売り場には試食コーナーを数多く設けるなど、子どもも飽きない工夫がみられる。

沖縄県の出生率は全国トップ。ロピアの相川博史取締役FC担当は「育ち盛りのお子さまが多く、私たちのターゲットが多い」と話す。

沖縄進出に向けロピアがフランチャイズ契約を結んだのが、「フレッシュプラザ ユニオン」を手がける野嵩商会。

野嵩商会の仲村知充専務は、「ロピアの肉の品揃えはずば抜けていて、県内にはない魅力と思っている。ユニオンにも導入していこうと考えています」と話す。

ロピアを運営する野嵩商会は今後、県内に30店舗近くまで拡大していくとしている。

コストコの特徴は巨大倉庫のような店内

沖縄テレビ 大城良太アナウンサー:
いっぽう、ここ南城市には、会員制の大型スーパーが2024年の夏にオープンします

南城市の区画整理地区にある1万8000坪の敷地に誕生するのが、アメリカ生まれの大型量販店「コストコ」。夏のオープンに向けて、着々と工事が進められている。

会員制のコストコでは、食料品や日用品のほか、車のタイヤや結婚指輪など幅広い商品を取り扱っている。

コストコホールセールジャパン ケン・テリオ 日本支社長:
よいサービスに加え、世界各国から素晴らしい商品を取りそろえる予定ですので、ご来店の際には宝探しのように買い物を楽しんでいただけると思います

コストコの特徴は、巨大な倉庫のような店内。

港から運んできた商品を荷台に乗せたまま店頭に並べているので、棚に陳列する手間を省いている。

コストコ沖縄南城倉庫店の小川倉庫店長は、「セルフサービスでメンバーが商品をとっていただいていくようなシステムになっているので、非常に人件費を抑えられている分、商品を安くできる」と話す。

雇用にも影響!コストコ始まって以来の最多応募

コストコの出店は沖縄の雇用にも大きな影響を与えている。

オープニングスタッフとして250人以上を採用する予定で、時給は県内の最低賃金を大きく上回る1500円~となっている。

小川倉庫店長によると、優秀な人材を集めるために、高い時給とよい福利厚生を提供しており、日本のコストコが始まって以来の最多応募だと話す。

2社が沖縄に進出する背景は?

「コストコ」と「ロピア」、この2つのスーパーが沖縄進出を決めた背景には、ある狙いがある。

ロピア 相川博史 取締役FC担当:
いま、台湾にお店はあるんですけど、アジアに展開していこうと思っています。台湾も近いので、アジアの方々も沖縄でロピアを知っていただけたら、すごく良い展開になると思っています

コストコ沖縄南城倉庫店 小川倉庫店長:
観光客の方は実際、台湾や韓国でコストコの会員の方が非常に多いので、沖縄に旅行に来られた際には、コストコを利用していただけるのではないかと思って、沖縄に期待しています

両社とも沖縄での市場開拓のほかに、観光客への宣伝効果に大きな期待を寄せている。

県内食品メーカーもビジネスチャンス

すでに台湾や韓国に出店しているロピアとコストコ。
マーケティングに詳しいマリンポートパートナーズの今川雄太さんは、アジアでの店舗拡大を図る上で、沖縄は魅力的だと強調する。

マリンポートパートナーズ 今川雄太さん:
沖縄に出店していることで、外国人観光客に来てくれる。その人たちが自分の国に帰った時に、自分の国にもこれらチェーンがあるので、そこに行ってみようという形になります

一方、沖縄県内の食品メーカーにとっても、アジア展開を見据える2社と連携できれば、販路拡大にも繋がると期待している。

マリンポートパートナーズ今川雄太さんは「いまリーチできていないところにロピアやコストコは届ける力があるので、この2社との新しい商品開発や販路開拓のチャンスとしてみていただくと、県内の事業者も成功するところがいくつか出てくると思う」と話す。

独自の戦略をもって沖縄の市場を開拓するロピアとコストコ。

両社に商品を提供する県内の食品メーカーや、製造業者にとってもビジネスチャンスに繋がる可能性を秘めている。

(沖縄テレビ)

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