銀行員になりすまし知人女性から200万円だまし取ったとして詐欺の疑いで3月に逮捕された男が4月1日起訴された。被害にあった女性は、2年前、鹿児島南警察署に相談したが「事件にならない」と対応してもらえず、この対応について鹿児島県公安委員会は「適切さに欠けるものだった」と判断した。

銀行員になりすましお金預けさせる

4月1日、詐欺の罪で起訴されたのは住所不定無職の日高洋被告、56歳(※日高被告の「高」ははしご高)。

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起訴状などによると、日高被告は2019年12月、銀行員になりすまして、知人女性に対し「銀行の役員になるために金を預けてほしい」などと嘘を言い、現金200万円をだまし取ったとされている。

この事件をめぐり、警察の対応に不適切な点があったことがわかった。

警察に相談も聞き入れてもらえず…

鹿児島テレビの取材に応じた被害者の女性が、詐欺に気づき最初に相談したのは鹿児島南警察署。2022年のことだったが、対応した警察官から女性はこんなことを言われたという。

被害に遭った女性:
相談の時点で「事件にならない」と言われた。「これ(被害届)を出しても仕方がないよ」という感じだった。「お金を返してもらいたかったら、民事でやるしかないよね」みたいな感じだった。

日高被告と婚活アプリで知り合ったという女性。結婚を前提に交際を始めたが「銀行のノルマなど」を口実に、次第に金を要求されるようになったと話す。

しかし、鹿児島南警察署の警察官はこう話したという。

被害に遭った女性:
「貸し借りはね、返すつもりがあったって言えばそれまでなのよ」って言われたので「貸し借りじゃありません。銀行員だと名乗る男にお金を預金として預けたんです」って。

女性は公文書開示請求で鹿児島南警察署の担当者との当時のやりとりを入手した。女性は銀行員を名乗る日高被告から「『金を預けてほしい』とだまされて、金を預けた」と警察に話したが、文書では、女性が金を貸したことになっているような文言が、複数カ所見受けられる。

女性はさらに「死んでもいない元主人を死んだことにしたりとか、何を聞いているんですかって」と話した。

女性は計3回、事件に関する相談を鹿児島南警察署にしたものの、一向に聞き入れてもらえず、別の警察署に相談した。

その後、この警察署が2023年1月に被害届を受理。日高被告は4月1日までに、この被害女性の事案を含む3つの詐欺事件で逮捕・起訴された。

「すがる思いで行ったのに…」

女性からの申し出を受けた鹿児島県公安委員会は、鹿児島南警察署の一連の対応について、3月7日付で「適切さに欠けるものであった」と女性に通知した。

そして、申し出の内容を記録する際に正確性を欠いていたことや、組織的な検討が不十分だったことを認めた。

被害女性によると、鹿児島南警察署の幹部から、不快な思いをさせたことに謝罪の言葉はあったというが、女性は、対応した担当者の誠実な対応を求めている。

被害に遭った女性:
(鹿児島)南署に行った相談で諦めていたら、この事件はなかったことになっていた。私たちがどんな思いで警察に相談に行ったか、助けてほしいって、本当にすがる思いで行ったのに、簡単に「事件じゃない」と言い切った。そのことを本当に(担当者に)謝罪してほしい。

鹿児島南警察署は鹿児島テレビの取材に対し「個別の案件なので回答は差し控える」としている。

(鹿児島テレビ)

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