今シーズンのプロ野球がついに開幕した。各チーム開幕戦を終えた4月1日、阪神のレジェンド・鳥谷敬さんに、阪神・巨人開幕3連戦を振り返っていただくとともに、そわそわしている虎ファンの疑問にズバリ答えてもらった。

■オープン戦から3戦終えて…1勝2敗「全然心配してない」

鳥谷敬さん
鳥谷敬さん
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まずは巨人との開幕3連戦。結果は阪神の1勝2敗となったが、どう見るか?

鳥谷敬さん:3戦目は勝ったというのが、非常に大きい。選手はやっぱり最初の1勝や、最初の1本、1打点というのが、流れを作っていくために大事なので、ある程度ヒットが出ている選手もいますし、ここから形を作っていくところなので、3つ負けなくて良かったというところですね。

なかなか得点が入らなかったが?
鳥谷敬さん:まだ得点の取り方とか、今年のチームの戦い方が見えてきてないので、これから徐々に。昨年も5月あたりからバッと勢いが来たので、これから今年の形を作っていくという感じだと思います。オープン戦から心配してる人、結構いると思うんですけど、自分は全然心配してないです。

今年の巨人は強い?
鳥谷敬さん:選手も感じているんじゃないですかね。後ろのピッチャーも少し数が増えてきてる。今年のジャイアンツは去年と違うなって感じていると思います。

多くの阪神ファンは「ライバルは巨人だ」と思っているみたいだ。
鳥谷敬さん:若手がどんどん出てきて、サード坂本選手、ファースト岡本選手をしっかり固定できたので、昨年の佐藤選手と大山選手でサード・ファーストを固定した阪神とちょっと似てるんです。あと、ピッチャーもしっかり補強してるので、そういう意味で(ライバルは)ジャイアンツっていうのは自分も一緒です。

新しく阿部監督になったという点も昨シーズンの阪神に似ている。
鳥谷敬さん:そうなんですよ。キャッチャー出身で、ピッチャーの継投についても経験豊富だと思います。

■アレンパへのキーパーソンはやっぱり佐藤輝選手

「アレンパへのキープレイヤーは?」 熱狂的な応援でおなじみ尼崎の商店街で、虎ファン30人に聞いたところ、投手では青柳投手、村上投手、大竹投手、野手では佐藤輝選手、森下選手、近本選手の名前が挙がった。

岡田監督も「1番数字の可能性あるのは佐藤だと思う。伸びしろからいうと、とてつもない数字を残す可能性もある」と話している。

鳥谷敬さん:やっぱり佐藤選手がポイントになると思います。岡田監督も言っていたように、一番伸びしろがあるっていうところと、あとはランナーがいる場面で打席に立つことが非常に多いので、佐藤選手がホームランとかいろいろ期待されますけど、100超えるような打点を上げてくれば、当然チームの得点力は上がっていきます。でも佐藤選手のプレッシャーも当然あると思いますので、そこらへんはしっかり感じながら頑張ってほしい。

■佐藤選手の今シーズンのフォームについて

佐藤選手は開幕3連戦でヒット1本にとどまったが…
鳥谷敬さん:最初の1本出たっていうのはあるんですけど、昨年からアメリカに行ったりしながら、打撃フォームを変えているので、それが試合の中でしっくりくるにはだいぶ時間もかかってくると思います。そこらへんの微調整をしっかりできれば、元の調子に戻るんじゃないかなと思います。

今シーズン、佐藤選手が新たなフォームに変えているということで、どこが変わったのか、今どうしてはまっていないのか、解説してもらう。

鳥谷敬さん:技術的な事というよりも、昨年まではどちらかというとある程度、体重移動しながら打っていたんですね。なので低めの球でも、前も届いていました。

鳥谷敬さん:今年は、体重移動をなるべく無くして、その場で打つ打ち方にしています。そうすると力も入りやすいし、ボールも飛ぶんですけど、やっぱりピッチャーも打たせたくないので、低めを投げてくるんです。昨年までは体重移動していたので、バットに当たってましたが、今年は体重移動しないので、単純に距離的にバットが当たらなくなります。

鳥谷敬さん:今までは振って当たっていたボールを、今年は振ってはいけない。試合の中でその微妙な判断が非常に難しい。多分、実際に試合を重ねていくうちに、低めのボールを見始めて、自分のポイントに来たボールを振れるようになってくる。そうするとホームランも出やすくなるし、今年自分が望んでいた形になってくると思います。いまは、昨年の『ここで打ってたな』というところで振っているので、空振りや打ち損じが増えていますけど、これからそこが合ってくると、常に自分のポイントで打てるようになってくるので、佐藤選手の強みがここから出てくると思います。

鳥谷さんは慣れるのにどれくらい時間がかかったのだろうか?
鳥谷敬さん:オフシーズンからやって、オープン戦もやるんですけど、いざ試合になるとピッチャーも違うし、やっぱり1カ月ぐらいは、しっくりくるまでにかかる。でも佐藤選手も色々変化しようとしているので、もっと早くなるかもしれないですし、そうなった時の佐藤選手の爆発に期待したいと思います。

4月3日、今シーズン初先発の村上投手はどうか?
鳥谷敬さん:1番期待する選手ではありますし、昨年もクライマックス、日本シリーズと、大事なところで投げているんですよ。いま3試合終わって、先発ピッチャーに勝ち星がついてないんです。ここで、村上投手がしっかり良いピッチングをして、まず最初の1勝を先発ピッチャーに与えることと、週の初めというのは、チームの流れとして非常に大事なんです。火曜日から1週間、試合があるわけなので、その初戦をとるという意味でも、4月3日の村上投手が頑張ってくれると、チームも勢いに乗ってくるんじゃないかと思います。

■期待の若手 門別投手

去年は村上投手が覚醒し、セ・リーグMVPの大活躍。 岡田監督が「レギュラーメンバーを脅かすというか、下からの若手の突き上げがチームの活性化になる」と話していたように、「アレンパ」に向けて、若手の台頭は不可欠だ。

「『アレンパ』へ期待の若手選手は?」 尼崎の虎ファンは、前川選手、門別選手、井上選手、下村選手の名前を挙げた。

鳥谷敬さん:前川選手も非常にいいんですけど、やっぱり門別投手。昨年もコーチやブルペンで聞いても、1番名前が出てきて。実際キャンプで初めて見ました。バッター目線から言うと、ピッチャーの投げる力感と球に違いがあればあるほど、バッターって嫌なんです。だからあんまり力感なく投げているんですけど、球の勢いと力強さがあるので、この門別投手は、去年の村上投手のように、最初は中継ぎでスタートして、誰かが調子を落としたりとか、何かした時にポンと入っていって、先発に入ってくるんじゃないかなと思います。

2戦目は中継ぎで、1回を無失点で押さえていた。
鳥谷敬さん:その時もしっかり投げていましたし、誰かのけがでとか、誰かの不調がきた時には、この門別投手がパッと入ってくるような感じでは。今年20歳だと思うんですけど、ちょっとびっくりするぐらいのボール投げてますね。

■チーム内の競争でチーム力をさらにあげてほしい

阪神ファンから鳥谷さんに質問が届いている。
‐Q:小幡選手は木浪選手を脅かす?
鳥谷敬さん:脅かしてほしいですよね。そうすると勝手にチーム内で競争が生まれますし、小幡選手ホームランを打ちましたし、木浪選手の安定感もありますし、この中で競争してもらえると、チームっていうのは勝手にチームの中で力が上がっていきますので、脅かしてほしいなあと思います。

‐Q:内野守備良くなっている?
鳥谷敬さん:ショート、セカンド、ファースト、「ゴールデンクラブ」取ってるんですね。ここでサードの佐藤選手が1年間しっかり守れると、それだけで十分良くなると思います。佐藤選手のバッティングだけじゃなくて、守備にも期待して、シーズンが終わる頃には、いい形になっているんじゃないかなと思います。

(関西テレビ「newsランナー」2024年4月2日放送)

関西テレビ
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