福岡県内72市区町村の中で、人口あたりの焼き肉店の数が一番多いのは北九州市小倉北区だ。特に浅香通りの周辺は、1kmほどの間に17店舗もの店が密集している。市や民間団体は「小倉焼肉通りマップ」を作成、“焼き肉のまち”として売り出そうとしているのだ。

タンが見えないほどネギがびっしり!

まず訪れたのは、「焼肉通り」の中でも老舗のひとつ「東秀苑」。小倉に焼き肉店が多いのは、かつて周辺にあった炭鉱の労働者が、英気を養うために焼き肉を愛したからという歴史的な背景がある。

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3代目店長が運んできた「ねぎ塩タン」は、50年以上焼き肉激戦区を生き抜いてきた東秀苑の看板メニューだ。来店客のほとんどが注文するという。タンを覆い隠すほどいっぱいの細い青ネギが“売り”だ。

東秀苑・永松開智店長:
山口県産の「安岡ネギ」というネギを使っています。このネギは、特にフグ刺しとかに使われているようなネギです。

焼き肉店ではあまり見かけないヘラを、ネギが落ちないようにタンの下に滑らせて焼く。備長炭の遠赤外線効果で、中まで火が通るので片面焼きでOK。

東秀苑・永松開智店長:
キャベツです。こちら無料で付け合わせのようなかたちで。

さらに老舗の心意気を感じるサービス。地元・北九州の若松産キャベツに自家製ダレを絡めた付け合わせは、どれだけ頼んでもなんと無料!

東秀苑・永松開智店長:
先代、2代目が築いてきた土台がありますので、僕は本当にその50年の歴史が途切れないように。多くの人に知ってもらいたいなって思います。

貴重な部位を半額以下で堪能

新規参入店も負けていない。2022年に開店したばかりの「七輪焼肉わらいば」。代表の筒井飛雄馬さんは、焼き肉店や精肉店で13年ほど修行を積んで激戦区に出店した。

七輪焼肉わらいば・筒井飛雄馬代表:
こちらは他の焼き肉屋にはないいろんな部位の肉が食べられる、そしてお客さまに安く食べてもらうのが特徴です。

“きょうのおススメ”として運んできてくれたのが、分厚い「ランヒレステーキ」だ。

七輪焼肉わらいば・筒井飛雄馬代表:
これはもう1頭の中で大体1kg~2kgしか取れない希少部位です。

お尻にあたるブロックからわずかしか取れず、扱っている焼き肉店はほとんどないというランヒレを、200gほどの分厚いステーキで頂く。

七輪焼肉わらいば・筒井飛雄馬代表:
これ、他の焼き肉屋やったら6000~7000円。高級店は1万円くらい。こちらでは2400円で出してます。半額以下です。

大きなブロックで仕入れて、自ら切り分けているため安く提供できるのだという。

さらにこの日の希少部位3品盛りは、ミスジ、サガリ、そして腕の部分から取れるクリミが入って980円。クリミは、口に入れた瞬間にトロっと溶けて甘みが強いのが特徴だ。

七輪焼肉わらいば・筒井飛雄馬代表:
もっとお客様にいろんな部位のお肉を楽しんでもらいたい。全国、海外とかいろんな方に来てもらって、北九州の焼き肉を知ってもらいたいっちゅうのが一番。

「丸腸」の発祥は北九州!?

この他、独特の食感と滴り落ちる脂の旨味がたまらない、いまやホルモンの定番メニューの「丸腸」。実は、北九州が発祥ではないかと一部でみられている。

というのも丸腸は、昭和30年代に小倉の焼き肉店でまかないや裏メニューとして食べられていたという。その後、昭和40年代後半に正式なメニューとして登場して市の外にも広まっていった経緯もある。

焼きうどん、焼きカレー、そして焼き肉で北九州の街が盛り上がっていきそうだ。

(テレビ西日本)

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