山陰と岡山を結ぶJRの特急「やくも」が、2024年4月に約40年ぶりにフルリニューアルする。
“酔いやすい”と言われる「やくも」の弱点解消のため導入された新方式の装置が試乗会で初めて使用され、実際に近い乗り心地を体験することができた。

約40年ぶりに一新!新車両お披露目

3月23日、JR出雲市駅に入ってきたのは、運行開始まで2週間となった特急「やくも」の新型車両。真新しいブロンズ色の車体が、ひときわ目を引く。

4月6日デビュー 特急「やくも」新型車両273系
4月6日デビュー 特急「やくも」新型車両273系
この記事の画像(9枚)

現在の車両が導入されて以来、約40年ぶりに車両が一新される。ホームで間近に「やくも」を見た子どもからは、「きれいでかっこいい。(乗るのが)楽しみ」と期待の声が上がった。

この日は試乗会が開かれ、JR西日本の会員やSNSで発信するインフルエンサーなど、約400人が新型車両の乗り心地を体験した。

新型「やくも」の車内は広々とした印象。
座席の間隔は新幹線並みで、車窓も従来の約1.3倍に広がった。

さらに、JR西日本の在来線特急で初めて、半個室の「セミ・コンパートメント」が導入されるなど、快適な列車の旅が楽しめるよう工夫が凝らされている。

傾斜を調整で“ぐったりやくも”返上

さらに、新型車両がめざすのは快適性の向上。
最大のポイントは、“酔いやすい特急”といううれしくない名前を返上するため、最新式の「振り子」制御装置が搭載されている点。
23日の試乗会で、初めて作動させた。

山あいのカーブの多い伯備線を高速で走行するため、現在の車両にも「振り子」装置が取り付けられているが、遠心力に任せて車体を傾けるため、この振れが乗り物酔いの原因になっていた。
SNSなどでは“ぐったりやくも”などとやゆされることもあった。

JR西日本 後藤総合車両所・富田博之さん:
伯備線で酔われる方もいらっしゃいますけど、それもこの381系「やくも」の味かなと思う

整備担当者が「やくも」の“味”と表現した独特の揺れを抑え、乗り心地を改善するため導入された新方式の「振り子」制御装置は、車両側に登録されたデータと走行地点のデータを照合し、ゆっくりと最適なタイミングで車体を傾斜させる。

最適なタイミングで車体を傾斜させる新型の「振り子」制御装置
最適なタイミングで車体を傾斜させる新型の「振り子」制御装置

JRによると、新方式の導入で、酔いやすさを示す数値は約23%改善され、乗り心地が向上するという。

鉄道系ユーチューバー絶賛の乗り心地

実際に試乗した人は、「全然、揺れてないですよね、今」「(旧型車両は)ぐーっとこう、動いているような感じがあったけど、今はだいぶ違うなと思って。音も静かだしね。良くなっているなと思います」と、その効果を実感した様子だった。

試乗会には、全国の9割の列車に乗った経験があるという鉄道系ユーチューバーも参加。
「最高です。やばいです。揺れないということはないんですけど、前のやくもの揺れと比べて、ちょっと乗っただけで全然違うなというのがわかる」「旧型のときは発車するときにちょっと軽い衝撃みたいなのがあったんですけど、それがなくなっていて、だいぶ進化したなと感じた」とその乗り心地を絶賛した。

JR西日本山陰営業部・足立智課長代理:
揺れも、かなり横揺れというか、そのあたりがかなり軽減されているなと感じます。(現行の)381系も残り運行期間がわずかになってきていますので、381系も新型のやくもも、両方楽しんでいただきたいなと思う

最新技術で乗り心地を改善し、“酔いやすい特急”から“乗りたい特急”に変身した「やくも」。
新型車両273系は4月6日にデビュー、6月15日からはすべての便が新型車両で運行される予定だ。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
TSKさんいん中央テレビ

鳥取・島根の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。