小林製薬の紅麹のサプリメントを使用した人が、腎臓の病気などを発症し相次いで入院、そして死亡する事案もでてきた。全国で自主回収が相次ぐなど影響が広がっている。これまでに国内で27のメーカーが、小林製薬から供給された紅麹をつかった商品の自主回収や販売中止を行っている。

【動画】小林製薬「紅麹」死亡か 検出された“未知の成分” 「ヒューマンエラーか、意図的混入か…」専門家

自主回収や販売中止となっている商品は、味噌、菓子、酒、パンさらに塩辛など、幅広い食品に及ぶ。

サプリ摂取した人はもちろん、私たちが日常食べる食品にも紅麹が使われていたということで、知らず知らずのうちに口にしていた可能性もあり、本当に心配だ。影響はどこまで広がるのか、どこまで心配すべきなのか食の安全に詳しい東京大学名誉教授の唐木英明さんに聞く。

■小林製薬「死亡とサプリメントの摂取の因果関係は調査中」

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26日には、3年前から「紅麹コレステヘルプ」を使用していた高齢者が、ことし、腎臓の疾患で亡くなっていたことが分かった。小林製薬は摂取と死亡の因果関係は調査中ということだ。

これまで腎疾患などで入院が確認された方は、80人規模にのぼる。

今回の問題について、小林製薬の調査では、当初、紅麹を作る過程でできることがある「シトリニン」という毒素を疑ったものの、「シトリニン」は検出されなかった。
調査では紅麹原料の中に“未知の成分”が入っていて、これが腎疾患の原因となった可能性が否定できないとしている。

■“未知の成分”の正体について可能性は?

“未知の成分”について詳しく説明する。

小林製薬が作っている紅麹は、大きく2種の供給先がある。1つがサプリメント用で、今回“未知の成分”が確認されたのはこちらだ。もう1つが食品着色用だが、こちらには“未知の成分”は含まれていないと、小林製薬が確認し発表している。

なぜ“未知の成分”が検出されたのだろうか。

東京大学名誉教授 唐木英明さん:サプリメントに“未知の成分”が入っていたということですが、サプリメントではなくて、『ある時期』に作った『あるロット』だけに、ほんの一部の製品に、“未知の成分”が入っていたということです。ということになると、紅麹全部が危ないのではなくて、あるロットだけが危険になったということです。そうすると考えられることは、そこに危険なものが、その時期に混入したということです。なぜ混入したのかは、いま全く分かりませんけれども、可能性としては、1つはヒューマンエラー。何かの間違いで、安全管理の網をくぐって、危険なものが入ってしまった。もう1つは、何らかの犯罪行為があって、有毒物をそこに混入させたという可能性は、否定はできません。

原因の特定には少なくとも、1、2カ月かかるとも言われているが、必ず特定はできるのだろうか?

東京大学名誉教授 唐木英明さん:原因物質を突き止めることが、いま何より大事なんです。原因物質がはっきり分かることによって、いま健康被害を起こしている方の治療法も明らかになりますし、どの商品を回収しなくちゃいけないかということも明らかになるし、それから今後二度とこういうことが起こらないためには、どうしたらいいのかということも明らかになります。要するに原因物質をはっきりさせるというのが、いま何よりも大事なことです。

■専門家「サプリメントと腎疾患の関連性はない」

今回、多くの人が腎臓の病気などを発症したということだが、どういうものなのだろうか。

近畿大学病院腎臓内科の坂口美佳さんによると、「一般論として腎疾患の主な原因は高血圧・糖尿病・肥満・腎炎など症状によっては1週間から数カ月ほどで、急激に悪化する場合もある」、「慢性的な腎疾患になると、完治は難しく移植か透析が必要なことも場合としてはある。気になる方は、尿検査そして血液検査を」ということだ。

腎疾患は怖い病気だということだが、サプリメントと腎疾患の関連性はあるのだろうか?
東京大学名誉教授 唐木英明さん:サプリと腎疾患は全く関係ありません。サプリ自体が腎疾患を起こすとか、腎疾患を起こす可能性がある、『シトリニン』という物質が入っていないということで関係ありません。腎疾患を起こしたのは、あくまで入るはずがない有毒な、未知の成分が入ったためと考えられます。

■“未知の成分”を含む可能性がある紅麹コレステヘルプの製造番号、確認せずとも回収へ

今回の事態を受け、テレビを見て心配されている方も多いと思うが、小林製薬は紅麹コレステヘルプで“未知の成”分が含まれている可能性がある商品番号を公表している。

“未知の成分”を含む可能性がある紅麹コレステヘルプの見分け方は、商品の裏面の左下にある製造番号を見てほしい。小林製薬は製造番号に関わらず自主回収を行っているが、特に18個の製品には、未知の成分が入っている可能性があるということなので、注意してほしい。

・ドラッグストアなどで販売
J3017、X3037、X3027、X3017、H3057、H3047、H3037、H3027、H3017、F3037、F3027、E3037、E3027、D3079
・小林製薬の通販
X304、H306、G301、E301

裏面の表示など普段は見ることが少ない方も多いと思うが、しっかりとチェックする必要がある。

東京大学名誉教授 唐木英明さん:今回については、見る必要ありません。紅麹コレステヘルプが手元にあれば、番号に関わらず全て回収することが大事だと思います。

小林製薬は商品の回収の遅れについて認めているが、ここまでの対応をどうみている?

東京大学名誉教授 唐木英明さん:ことし1月に1人、腎臓の機能不全の疑いがあったということですが、実は1人ではなかなか因果関係はよく分かりません。2月に入って、2人目、3人目が出て、同じサプリを飲んでいた、ここでかなり確実になった。その時点で、保健所なり厚労省に届けるべきだと思います。ですから1カ月ちょっと遅くなったという、これは残念なところです。

2月6日には、社長に報告されていた、そこで回収になるだろうという覚悟をしたというから、対応の遅さを指摘されてもやむを得ない。

■1日でも早い原因特定を

今後、小林製薬はどのような対応をしていくべきだろうか?

東京大学名誉教授 唐木英明さん:原因を特定するということを、ひと月、ふた月と言わず。大阪の大学と一緒に研究されているようですけれども、1日も早く原因を特定していただくことが、今後の対策、あるいは治療にとって非常に大事なことだと思います。

サプリメントは医薬品とは異なり、一般の食品と同じ扱いとなっている。サプリメントに関する規制についてはどのように考えているのか?

東京大学名誉教授 唐木英明さん:いま、サプリメントは一般の食品です。ですから食品と同じ扱いになっている。でもサプリメントは食品とは違う、もちろん医薬品とも違う、その中間の存在だという、新しい法律を作ることが必要であって、それがないとサプリメントの厳しい安全性の取り締まりができない、そういう状況です。ですから、ぜひ法律を作って欲しいと思います。

■サプリメント以外の紅麹は問題ないが、心配であれば相談センターへ問い合わせを

ここで視聴者からLINEで質問が来ている。

‐Q:小林製薬以外のお菓子などに入っている紅麹は大丈夫ですか?
東京大学名誉教授 唐木英明さん:サプリ用の製品の一部に未知の成分が入っていると。ところが食品を作るため、あるいは赤い色をつけるための製品には、未知の成分は入ってない。ですから安全だということです。ですから、全ての商品も回収する必要はない。サプリだけを回収すればいいんですけれども、いま念のために色を付けたものまで回収しているということです。過剰に心配をされる必要はありません。

では小林製薬以外の紅麹も大丈夫ということ?
東京大学名誉教授 唐木英明さん:小林製薬が共有していますが、そこには未知の成分は、入っていないということですので大丈夫です。

今回の問題を受けて小林製薬では相談センターを設けている。
心配や不安な方はこちらの番号までお問い合わせしてほしい。
3月26日まで:0120-5884-12
3月27日以降:0120-880-220
3月27日から番号が変わりますので、ご注意を。

(関西テレビ「newsランナー」2024年3月26日放送)

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