先週、JR福知山線の踏切で遮断機が下りないまま、電車が走行し、あわせて6本が相次いで通過しました。
JR福知山線は、乗客106人と運転士が死亡した脱線事故から4月で21年となる中、同じ路線で起きた人命に関わる事態にJR西日本が謝罪しました。
【JR西日本の会見】「大変ご心配とご迷惑をおかけたしたこと、大変申し訳ありませんでした」
同じような事案は、2024年に南海電鉄でも発生していました。なぜ、相次ぐのでしょうか。
鉄道工学の専門家は、相次ぐ背景に「人手不足などで保守(点検)が十分できていなかったこと」があるといい、無線通信などで踏切を制御する「保守作業が少なくて済むシステムに転換していくべき」と指摘しました。
■遮断機が下りないまま電車が走行 JR福知山線
電車が踏切内で停止している様子が、兵庫県川西市で撮影されていました。
2月14日の午前6時20分ごろ、JR福知山線の川西池田駅付近で、普通電車が踏切を通過しようとしたところ、横断する人を発見して、非常停止。
幸い踏切を横断した人や乗客にけがはありませんでした。
一体何が起きたのかというと、遮断機が下りないまま電車が走行したというのです。
JR西日本によると、始発からおよそ1時間半にわたり、遮断機が作動しておらず、合わせて6本の電車が、遮断機が下りないまま通過していたということです。
【目撃した人】「朝は通勤・通学で通る方多いので、時間と曜日がずれてたら結構、危険な状態だったのかもしれないですね」
その原因についてJR西日本は、「事故の前に踏切の制御装置の近くで工事を行っていた際、何らかの原因で装置の配線に金属製の部品が挟まり、配線がショートしたため」と発表しました。
■同様の事態は他にも 相次ぐ遮断器トラブル
遮断機が下りないトラブルは、ほかの鉄道会社でも。
2024年、大阪市内の防犯カメラに事故の瞬間が映っていました。
大阪市西成区にある南海電鉄西天下茶屋駅の近くにある踏切で、遮断機が下りず、走ってきた電車と車が接触。
幸い、けが人はいませんでした。
また、香川県を走る「ことでん」でも3年前、遮断機が下りないトラブルが続き、社長が辞任する事態となりました。
■保守作業を行う人で不足が原因か
なぜ、こうした事態が相次ぐのか。
鉄道工学に詳しい専門家は、背景として、踏切の点検などを行う「保守作業が十分ではなかった可能性がある」と指摘します。
【日本大学 綱島均特任教授】「保守(作業)を十分やっていれば防げる事象ではあるんですね。
ただ場合によっては(作業が)夜間になったりして、なかなか人が集まらない。作業する人間がいなければ、保守が実際に行われない。
人手不足ということろが、非常に大きな影を落としている」
遮断機トラブルをなくすためには、どうすればいいのか。
■トラブル防ぐために点検を分けて実施「水間鉄道」
取材班が話を聞いたのは、大阪南部の貝塚市を走る「水間鉄道」。“水間の観音さん”こと「水間寺」を参拝する交通手段として親しまれています。
「踏切の定期検査」は、年に1回行うことを国が定めていますが、水間鉄道では…。
【水間鉄道 西田康彦鉄道部長】「総合的な点検を1年に1回、軌道回路に準じた点検を別の機会に設けてやっているので、年に2回やっています。見落としを少しでも減らせる要因になればいいなと思い、(2回に)分けている」
水間鉄道では2013年、電気系統のトラブルで踏切の遮断機が下りず、電車と車が衝突、車の運転手がけがをする事故が起きました。
その後、新たに改善を加えたのが…。
【水間鉄道 西田康彦鉄道部長】「あの電柱についている黒いものが“踏切動作反応灯”というもの」
踏切が正常に作動している場合は、ライトが点灯。しかし、何らかの異常がある場合は、ライトが点灯せず運転士はそれを確認し、すぐに司令部に伝えるなど、安全対策を徹底してきました。
今回のJR西日本の問題について聞くと。
【水間鉄道 西田康彦鉄道部長】「こういう情報は、我々、他山の石として捉えて、スタッフの中でもしっかりと安全対策を、もう一度確認できるように進めていきたい」
■95%が高架・地下区間の阪神本線 事故防止や渋滞緩和が狙い
さらに、異例の取り組みをしている鉄道会社も。
【記者リポート】「兵庫県西宮市です。あちらの神社に行くには、現在このように道路を通ることができるんですが、昔はこのあたり、踏切だったということです」
大阪と神戸を結ぶ阪神本線では、およそ95%が高架、もしくは地下区間。踏切での事故防止や渋滞緩和などが狙いです。
【近隣の住民】「(踏切のない)こういうのにしてもらった方が、遮断機が下りてみたいなも危なくないし、ありがたいです」
ただ、こうした高架化は、周辺自治体の協力や、コストがかかるのも実情。
■「保守作業が少ないシステムに転換していくべき」と専門家
専門家は、無線通信などで踏切を制御する「保守作業が少なくて済むシステムに転換していくべきだ」と話します。
【日本大学 綱島均特任教授】「現状のものをずっと未来永劫(えいごう)使っていくっていうのは、破綻する可能性が高いと思われます。
簡単なシステム、保守・メンテナンスフリーになるようなシステムに変えていく。そういう戦略で進めていくことが重要」
鉄道の安全を守るために。不断の努力が求められています。
(関西テレビ「newsランナー」2026年)2月19日放送)