お絵かきや工作など次々生み出される子どもの“作品”をいつまでも残しておきたい。でも収納場所には限りがある…。そんな親たちの共通の悩みを解決してくれそうなサービスが誕生した。

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カタログや新聞広告印刷、システム企画などを手がける長屋印刷株式会社(名古屋市)が3月21日にスタートさせたのが、子どもの絵や工作を絵本化するサービス「こども絵の本」

専用フォームから申し込むと、専用の段ボール(長さ570mm×幅420mm×深さ150mm)が自宅に届けられる。この箱に“作品”25点(立体工作は1点まで)を詰め込んで返送すると、作品をデータ化して製本。約2カ月後に絵本となって手元に届くというものだ。

立体作品については写真の隣にQRコードを掲載。このコードを読み取ると、作品をARで表示させることもできる。

スマホで見ることができるAR画面
スマホで見ることができるAR画面

価格は、1冊2万2000円(税込)で、この中には作品送付用の段ボール箱・梱包材・送料が含まれる。

また、本の制作過程で作られた「作品のデジタルデータ」をまとめた専用サイトも閲覧できるようになり、これらの作品データからはTシャツやスマホケースといったグッズも作ることができる。

マスクで隠れる部分を印刷した、長屋印刷の「スマイル名刺」
マスクで隠れる部分を印刷した、長屋印刷の「スマイル名刺」

長屋印刷は、コロナ禍のマスク生活の中で「顔の鼻から下を印刷した名刺」を作り、話題になった会社。今回もユニークなアイテムを打ち出したが、中川剛代表は自身も5歳と7歳の女の子を育てているお父さんだそう。やはり、子どもたちの作る作品が家にあふれてしまい、悩んでいたのだろうか?詳しくお話を聞いてみた。

子どもの作品を「いつでもいつまでも愛でられる」

――「子ども絵の本」を作ったきっかけは?

我が家での毎年3月の妻との会話がきっかけです。娘の幼稚園では、年度末の3月に1年間で描いた絵や工作をまとめて持ち帰ってきます。持ち帰ってくる絵のサイズは4つ切りと大型のものから、A4サイズの小さいもの、1枚の画用紙からスケッチブックなど様々です。

私と妻は、基本的にはすべて家の中に飾りたいのですが、家にそんな広いスペースはありません。収納しようと思ってもサイズがバラバラなので、きれいに収納できず、まとめて段ボール箱に入れる以外思いつきませんでした。押入に入れてしまったら二度と出さなさそう……段ボールに入れてしまったら、もう二度と開けて見る、愛でることはなくなってしまう。

そんなふうにはしたくないなぁと考えて、絵本の形にかえて、本棚に入れておけばすぐに、いつでも、いつまでも愛でられるのではないかと、印刷会社としてできることを考え開発をいたしました。

――では、これまではどんな風に子どもの作品を保管していた?

A4程度の小さな作品は、額にいれて壁にはって飾っています。4つ切り画用紙の作品は、袋にいれて、押し入れ行き。工作はほんの一部だけを段ボール箱に残して、子どもに見つからないように捨てていました。押し入れに行った箱や袋は、その後一度も開けていません。

本にはタイトルを自由につけることもできる
本にはタイトルを自由につけることもできる

――「子ども絵の本」でこだわった点はどこ?

・絵本は、家庭にある一般的な本棚に入るサイズであること
・子ども作品に使われる画用紙に近い質感、紙厚で高級感のある紙の採用
・アナログ(絵本)とデジタル(閲覧サイトやデータDLサービス)の両方で残すこと
・送っていただいた作品の撮影や、データの修正、印刷、製本はプロが行うこと

リサーチで、子どもの作品の実物を段ボールなどで収納されている方のお話では「作品が劣化していくのが気になる」「本当は飾りたい、しまい込みたくない」といったご意見や、写真で残す方々に聞くと「スマホでは(撮影した作品の形が)台形になったり、カメラの影が気になったり、きれいに撮影するのは難しい」「写真フォルダの中で整理が面倒」といったお声が多く聞かれました。それらのご意見を解決すべく、この4点にこだわりました。

最後のページには子どものプロフィールも掲載できる
最後のページには子どものプロフィールも掲載できる

――様々な素材で作られることもある子どもの作品。規定などはある?

お送りする配送用の箱(570mm×420mm×150mm)に収まるサイズなら撮影して絵本化は可能です。

「箱に入るサイズ」という以外に特に制限は設けてはおりませんが、工作については、3D化が苦手なものがございます。ツヤツヤした素材のものですとか、紙のような薄いものなどです。これらは3D化できなかった場合、写真での撮影に変更させていただいております。

スマホの専用ページから見られる作品一覧
スマホの専用ページから見られる作品一覧

――「おじいちゃん・おばあちゃんへのプレゼント用に3冊欲しい」など、一度の申し込みで複数作ってもらうことはできる?

現在のところ、そういった形にはなっておりませんが、ご希望の声をいただければそのような形に対応してまいります。

「お子さんの絵を大切に思っていることを伝えて」

――送った作品は、その後どうなるの?

お送りいただいた作品は全て、作った絵本とともに送り返します。リサーチでは、一部の方が「自分では捨てられないので、お焚き上げのような形で処理してほしい」という声はいただきました。

データから作れるグッズも
データから作れるグッズも

――リリースからの反響は…

早速注文をいただいているのと、メディアの方々や幼稚園さんからのお問い合わせを頂いております。


――「子ども絵の本」をどんな風に楽しんでほしい?

まずは自分の作品が絵本になったという感動をお子様と楽しんでいただきたいです。そしてお子さんの絵を本当に大切に思っていることを伝えていただきたいです。

20年、30年後にお子様がお父さん・お母さんとなったときに、この絵本でお子さんとの会話が生まれると素敵だなぁと思っています。

ちなみに、立体工作はデータ化・AR化に時間がかかるため、現時点では1冊につき1点のみとなっている。しかし今後は「ご要望があれば、オプションで工作数の追加といったことも検討している」そう。

子どもたちの作品はどれも捨てがたいがしまったままになっている。そんな人には、この機会に押入れから大切な“作品集”を取り出してみてもよさそうだ。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。