中国とフィリピンが互いに領有権を主張し、たびたび衝突が起きている南シナ海。
FNNがその“衝突海域”を独自取材したが、取材の最中にも、両者がぶつかる緊迫の瞬間があった。

「容認できない」「自国の領海だ」両国の食い違う主張

周辺で複数の中国海警局の船が警戒する中、FNNの取材団が乗り込んだのは、フィリピン当局の海洋調査へと向かう船。

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向かったのは、南シナ海のパグアサ島の周辺。

パグアサ島は、国連法に基づく両国の排他的経済水域の外だが、フィリピンが実効支配しており、中国側が主張する海域内にも位置しているため、両国の衝突が繰り返されているという。

中国による人工島造成で流れ着いたものが海洋生物に影響がないか、調査を行っているフィリピン側。
そうした中でも、周辺には監視するような中国側の船が見える。

3月5日、フィリピン当局が公開した船内映像には、中国船からの放水を受け、ガラスが粉々になり撮影者が吹き飛ばされる様子がとらえられている。

中国船からの放水を受けてガラスが割れるフィリピン船
中国船からの放水を受けてガラスが割れるフィリピン船

また、空から撮影された映像には、2隻の中国船がフィリピン側の民間船を挟み撃ちにし、放水している様子も映っている。

中国船によるフィリピンの民間船の“挟み撃ち”
中国船によるフィリピンの民間船の“挟み撃ち”

こういった中国船からの衝突や放水などの妨害行為について、フィリピンの外務省は「容認できない」と中国に抗議しているものの、中国側は「自国の領海だ」と主張している。

取材の最中にも中国船が接近

さらに、調査の最中にも…。

FNN取材団:
今、フィリピンの船と中国海警局の船が非常に接近しています。

中国海警局の船が黒煙を上げて進路を変更し、フィリピンの船に近づいてきた。

FNN取材団:
今、中国海警局の船が、フィリピンの船を遮るように横切っています。

今回取材した島の漁師だという男性も、この現状を不安視している。

パグアサ島の漁師:
以前中国が入ってきた時はまだ遠かったけど、今は少し近くなっている。

緊張状態が続く中、4月11日にはホワイトハウスで日米とフィリピンの首脳会談が行われる予定で、中国の海洋進出をけん制したい狙いがあるとみられている。
(「イット!」3月22日放送分より)