同学年の多くが就職や進学をするなか、独自の道を歩む22歳がいる。福島県内の企業と地域を盛り上げたい…起業した会社での挑戦が始まっている。
迎えた卒業 それぞれの道へ
福島県いわき市の福島工業高等専門学校。約200人が卒業の時を迎えた。それぞれが進学や就職…自分が決めた道を歩み出す。
いわき市の熊田舞弥さん（22）もその一人。ビジネスを通して、どう地域に貢献できるか…2023年6月、ある決断をした。
在学中に起業
熊田さんは在学中に、企業の紹介や求人・業務マニュアルなどを動画にする会社を立ち上げた。この日は、採用活動に向けたPR動画の打ち合わせ。企業側が伝えたいポイントを聞きながらイメージを膨らていく。
地元企業PRの動画制作依頼
熊田さんが起業をした、きっかけ…それは所属する研究室で経験したある出来事にある。コロナ禍で学生との接点がもてず、採用活動に悩んでいた地元企業から受けた動画制作の依頼。話を進めていく中で、地域に魅力のある企業がありながらも、情報不足から若い人材が首都圏などに流出している現状を知った。
熊田さんは「名前は知っているけど、何やっているかわからない企業って結構あって。やはり知ってもらわないと、いけないんだと思ったので、動画をメインに起業しようかなと思いました」と話す。
学生の半数が県外へ
福島県出身の学生などを対象にした調査では、半数以上が首都圏を中心とした県外の企業に就職活動をし内定を受けている。
また、県外の企業へ就職を決めた理由では「福島に志望する企業が無い」との回答が最も多い割合を占めた。
共鳴する熊田さんの思い
熊田さんは、制作した動画で多くのことを発信したいと考えている。この思いは企業側にも伝わっているようで、動画制作を依頼したいわき信用組合平支店の番場飛斗さんは「同じように地域貢献しようとしてるのは共通で、行動力がすごい。私も真似して行動していきたい」と話し、いわき信用組合湯本支店の鈴木渉太支店長は「少子化でもあるので、若い力はこれからますます必要になってくる」と話す。
見る人にも寄り添った動画に
同世代の人に企業の思いは伝わるか？編集はとくに時間を費やす。熊田さんは「出来る限り間延びしないで、飽きずに見てもらえるような動画にしたいと思ったので、そこは注意して」と話す。
卒業前、最後の動画が完成した。就職後のイメージが描きやすいよう、実際に働く行員に有給休暇の過ごし方を聞き、取得するまでに必要な手続きと流れを分かりやすくまとめた。
できることを精一杯
就職か、起業か…葛藤しながらも選択した自分の道。これからも「出来ることを、精一杯」その思いは変わらない。
「多くの学びがあったなと感じています。入学した時と今とでは、全然違う自分になれているなと感じています。微力ではあるんですけど、地域に貢献できるような会社にしたいと思っています」と熊田さんは語った。
（福島テレビ）
