1967年に世間を興奮させた名車「コスモスポーツ」。それはマツダのロータリーエンジンの原点だった。半世紀が過ぎ、走る現物が残り1台となった今、自動車部品製造会社が保有してきたもう1台がマツダに寄贈された。

「マツダの飽くなき挑戦の原点」

五十川裕明 記者:
発売から半世紀以上が経っても色あせていません。かっこいいです。現段階では走れないそうですが、今にも走り出しそうですね

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1967年に発売が開始されたマツダの「コスモスポーツ」。三角形のローターが回転することで動力を生む独自構造の「ロータリーエンジン」を搭載し、マツダが世界で初めて量産化に成功。100年を超えるマツダの歴史を振り返る上で欠かせない代表的な名車だ。

マツダ コーポレート業務本部・藤家豊 本部長:
マツダの飽くなき挑戦の原点だと思っています。形も含めて、飛んでいるようなイメージを当時の人に持ってもらえた

開発の意識を高めるシンボル

自動車の内装部品の開発・製造を手がけてきた広島市南区本社の南条装備工業が、保有してきた1台をマツダに寄贈することを申し出た。

安芸高田市の南条装備工業で行われた寄贈式
安芸高田市の南条装備工業で行われた寄贈式

南条装備工業・加藤巧 専務:
もしかしたら世界中に開発のスピリットを感じてもらえて、笑顔の原動力になるほうが価値あると

社内で展示されていた「コスモスポーツ」は社員たちのシンボル的存在になっていた。

南条装備工業・加藤巧 専務:
みんなが「無理だ」と言う中で立ち上げたロータリーエンジンのスピリットを、開発にかかわる全員に認知してもらいたい。社員の意識を高められるようにずっとここに置いてきました

11年ぶりに“発電機”で復活し脚光

現在、走る状態の「コスモスポーツ」はマツダが保有している1台だけ。今回、寄贈された車も部品の状態をチェックし、早ければ1年後に走らせることができるのでは…という。脈々と受け継がれてきたロータリーエンジンが今、再び脚光を浴びている。

マツダのロータリーエンジン
マツダのロータリーエンジン

1991年、ロータリーエンジンを搭載した「マツダ787B」が世界最高峰とされる24時間耐久レースで頂点に立った。ところが、世界各国で広がった排ガス規制の影響などから2012年にロータリーエンジン車の生産は終了。そんな中、2023年11月、ロータリーエンジンを“発電機”として搭載したプラグインハイブリッド車「MX-30ロータリーEV」が国内で販売を開始した。マツダに11年ぶりにロータリーエンジンの火が灯ったのだ。

マツダ コーポレート業務本部・藤家豊 本部長:
大きな可能性を持っていると思います。水素燃料を使って走らせることもでき、これからのカーボンニュートラルの時代に向けて非常にマッチした製品になると考えています

再び注目を集めたロータリーエンジンの原点「コスモスポーツ」。時代のニーズに合わせて製品が変わっても、開発にかける熱意は変わることなく受け継がれている。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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