自動車メーカーのマツダは9月14日、マツダ伝統のロータリーエンジンを“発電機”として使用する、今までにない新しいプラグインハイブリッド車「MX-30 Rotary-EV」を日本でも発売すると発表した。

ロータリーエンジンを発電機に使用

「MX-30 Rotary-EV」はマツダの象徴ともいえるロータリーエンジンを活用し、EV(電気自動車)とハイブリッドの強みを融合したプラグインハイブリッド車だ。

この記事の画像(10枚)

プラグインハイブリッド車はバッテリーの外部充電が可能なため、普段はEVとして電気だけで、遠出の際は電気とガソリンで走れる経済的なエコカーだ。「MX-30 Rotary-EV」はバッテリーのみの走行距離107キロを確保している。一方、発電機として、世界でマツダだけが量産化に成功したロータリーエンジンを採用した。

ロータリーエンジンを市販車に搭載するのは11年ぶりである。

マツダ・小島岳二 専務:
私たちはロータリーエンジンの火は消さないという強い思いをもって、このユニットの開発を進めてきました。「MX-30 Rotary-EV」に搭載されてるロータリーエンジンは次世代に向けたマツダのスピリットです

アルミで軽量化 800キロ走行可能

若木憲子 記者:
新たに開発されたロータリーエンジンは、素材を鉄から“アルミ”に変更することでエンジン単体で15キログラム以上軽量化しました

軽量化に伴う強度不足を補うため、「高速フレーム溶射」と呼ばれる技術を開発し、“軽くて強いロータリーエンジン”を実現した。

排気量は830cc、おむすび形のローター1つが回転して発電する。満充電したバッテリーとタンク容量50リットルのガソリンを燃料に、ロータリーエンジンによる発電分を含めると日本の燃費基準換算で800キロを超える走行が可能となる。

また、MX-30のロータリーエンジンは発電専用でタイヤを直接駆動しないため、運転の感覚はEVと変わらず、なめらかで力強い走りを実現しているという。

11月発売、月販300台を目指す

価格は約423万円~約491万円で、現行制度では国の補助金55万円分の交付対象。14日から予約を受け付け、11月の発売を予定している。

マツダは累計199万台を超えるロータリーエンジン搭載車を生産してきたが、2012年のRX-8を最後に生産が途絶えていた。

マツダ・小島岳二 専務:
まだまだロータリーエンジンには可能性があるとわれわれは考えています。マツダ独自の技術資産であるロータリーエンジンを時代の要請に適合させていくことで、将来につなげる発展性・拡張性をにらんだ新しい提案でもあります

マツダはバッテリーだけを搭載するEVを2028年から本格展開する計画。ロータリーエンジンを搭載したプラグインハイブリッド車は、マツダにとって過渡期となる電動化戦略であり重要な技術になりそうだ。

 

国内販売は1カ月あたり300台を目標にしているという。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
テレビ新広島

広島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。