少子化による人手不足問題に対応するため、政府は外国人留学生を高校から日本での就職まで支援する、新たな取り組みを始めた。
20日、その第1号であるインドネシアからの女子留学生2人が、兵庫県の姫路女学院高校に入学するために来日した。

政府が数千万円規模で支援

少子化の影響による深刻な人手不足が全国で社会問題化する中、政府の対策として、外国人留学生を日本の高校に招き、日本での就職まで支援する初めての取り組みが始まることが、FNNの取材でわかった。
20日、その第1号となる留学生が来日した。

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20日午前10時ごろ関西空港に到着したのは、インドネシアの中学を卒業したばかりの女子留学生の2人だ。

2人が4月に入学する姫路女学院高校が今後、国や自治体などと連携しながら、2人の大学進学や地元企業への就職まで支援し、国内の仕事の担い手として育てていく新たな取り組みを始めることがわかった。

政府は、この取り組みを内閣府の交付金など数千万円規模で支援するほか、学校側が市と連携し、10年間で2億円規模の基金設立を目指すとしている。

プテリ・アレタさん(15)は「こんにちは。インドネシアから来ました。どうぞよろしくお願いします」とあいさつした。

日本の総人口に占める「生産年齢人口」の割合は2018年以降、6割を下回っていて、姫路市でも全業種で人手不足を訴えているという。

姫路女学院の摺河祐彦理事長・校長は、「中等教育から日本型教育を受けることによって、日本に対する愛着、将来日本の社会に貢献してくれる。そういった人材育成が可能ではないか」と話している。

姫路女学院は、この取り組みで20日に来日したインドネシア人の2人が卒業した現地の中学校「タラカニタ第4中学校」と提携し、教師を派遣して日本語教育などを行ってきた。

深刻な人手不足解消には、若いうちに日本社会に慣れた留学生に、卒業後も日本に住んで仕事の担い手になってもらうことがカギとなっている。

このニュースについて、フジテレビ・上法玄解説委員がお伝えする。

── 10代の外国人留学生の日本での大学進学や就職を支援するということだが、人手不足対策として、有効な手立てになりそうだろうか?

日本に来ている外国人留学生のうち、学校卒業後も日本に滞在し、仕事をする人は37%にとどまっていて、政府は2025年度末までに50%を目指している。

日本に慣れてもらうには若いうちからということで、今回の新しい取り組みは高校生が対象になった。

日本人の警戒感が背景に

ただ、金銭的に支援があれば外国人が日本に住みたいと思うかといえば、そう簡単ではない。

外国人が日本を生活の拠点に選ばない理由の1つに、外国人お断りのアパートやマンションがいまだに多いということが挙げられる。

例えば、入居した外国人の部屋に友人が大勢集まり夜中に大騒ぎをしても、言葉が通じないので、大家さんも管理会社も手に負えないとして、最初から外国人の入居を拒否している物件がある。

── ほかにもネックになっていることは、どんなことだろうか?

日本でちゃんとした仕事を何年もしていても、銀行系のクレジットカードを持つには、大変な手続きが必要だといわれている。

カードの申請のため銀行の窓口に出向いても、「オンラインでやってください」と言われて突き返され、オンラインで申請すると却下されるという。

なぜ却下されたか通知もされず、なかなかカードを取得できないという話がある。

こうした背景には、「外国人は悪事をはたらいて海外に逃げてしまうのではないか」という、日本人の警戒感があるのも否めない。

こうしたことから、日本に滞在する外国人からは、何年住んでも、どんなに日本語がうまくなり日本文化に精通したとしても、日本人にとって外国人は一生外国人であって、自然に受け入れてもらえないという声を耳にする。

外国人を受け入れる日本人の意識も、変えていかないといけないと言える。
(「イット!」 3月20日放送より)

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