同性同士の結婚が認められないのは憲法に違反するとして、同性カップルが国に賠償を求めた裁判の2審で、札幌高裁は1審に続いて現在の制度を違憲と判断。
婚姻の自由を認めた24条1項にも反しているとする全国初の判断を示した。
歴史的な判決に歓声と涙
午後3時半、札幌高裁前に集まった支援者に結果を報告する原告の弁護団。
歴史的な判決を原告や支援者は歓声と涙で迎えた。
「本当に望んでいた、待ちに待った違憲判決が出て今凄く嬉しい気持ち。多くの方がこの訴訟に協力してくださったおかげで出た判決だと思っている(原告 中谷衣里 さん)
この裁判は、北海道内に住む同性のカップル3組が同性同士での結婚を認めないのは憲法に違反するとして、国に賠償を求めているものだ。
2021年、全国で初めての1審判決となった札幌地裁では「法の下の平等」を定めた憲法14条に違反すると判断。
同性婚をめぐる裁判で、当時としては初めての違憲判決を出した。
一方で、国が立法を怠ったとは認めず賠償の訴えを認めなかったため、原告側がこれを不服として控訴していた。
2審の3月14日の札幌高裁判決で、斎藤清文裁判長は婚姻の自由を定めた24条1項に違反するとする全国初の判断を示した。
理由について、24条1項は「異性間の婚姻のみならず、同性間の婚姻についても異性間の場合と同じ程度に保障していると考えるのが相当である」とした。
「さらに個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚した立法を求める2項にも反するとした。一方で賠償請求は棄却した」(加藤 丈晴 弁護士)
次の世代のために「結婚の自由をすべての人に」
同性カップルたちが声を上げた理由は次の世代のためだった。
「お互い温泉とか旅行とかがすごく好きで、一緒に行く。それこそ海外や国内旅行に2人で行ったり」(原告 国見亮佑さん・仮名)
原告の同性カップルで教師として働く国見亮佑さん（仮名）とパートナーのたかしさん（仮名）。
出会ってから20年あまり、異性カップルと変わらず幸せな生活を送っているが、立ちはだかるのが「制度の壁」。
「将来的にパートナーが入院した時、面会謝絶となった場合、親族以外に関係性がないから、法的なものが何もないからあなたは赤の他人だから入れませんよと言われてしまう」(国見さん)
老後への不安や、若い世代のために公的にも結婚を認められたいと訴訟を決断。
その1審判決が出されたのは3年前だ。
札幌地裁は、同性婚が認められないのは法の下の平等を定める憲法14条に違反すると判断。
当時全国で初となる違憲判断に。
「憲法14条に違反するとはっきり言ってくれたので涙が止まらなかった」(国見さん)
「続けてきて本当によかった」
そして14日、札幌高裁が婚姻の自由を保障する憲法24条1項に違反するとさらに踏み込んだ違憲判断をしたことに2人は。
「司法が積極的に同性間の婚姻を進めようとする意思を感じた。判決を国会議員の先生にも見ていただいて賢明な判断をしてもらいたい」(国見さん)
「5年間（訴訟を）やってきたんですけど、続けてきて本当によかった」（たかしさん）
同性婚を巡っては、全国5つの地裁で判断が分かれていて、高裁での判決は14日の札幌高裁が初めてだ。
