初の警察官の拳銃による同僚殺害の衝撃
滋賀県警の19歳の巡査が勤務中、貸与されていた拳銃で同僚警察官を射殺した事件に大きな驚きを禁じ得ませんでした。
なにしろ警察官が勤務中に貸与されている拳銃を使って人を殺めた事件は2007年、警視庁立川署の巡査長だった男が女性を殺害して以来、平成に入って2例しかなく、ましてや同僚警察官を貸与拳銃で殺害した例はないからです。
全国に27万丁の拳銃 管理体制は?
全国の都道府県警察には実に27万丁の銃が配備されています。
国家公安委員会が定めた「警察官等けん銃使用及び取扱い規則」によると「警察官は制服を着用して勤務するときは、拳銃を携帯するものとする」とあり、制服を着用する地域警察官には原則として1人に1丁貸与されています。
通常、制服警察官は所属している警察署に出勤し、制服に着替えた後、それぞれが勤務する交番なりに向かう前、署内にある拳銃保管庫に行き、拳銃管理責任者の確認の下、自分に貸与されている拳銃と弾丸を受け取ります。
規定された保管方法で携帯し、それから勤務する交番へと向かい、勤務が終わった後も同じで、まず制服のまま、警察署の拳銃保管庫に向かい、責任者の確認の下、拳銃を返し、拳銃から弾丸は抜き取られた形で保管されます。
責任者はその日に保管庫から出した拳銃の丁数と弾丸数が確実に返却されているか毎日確認するのです。
仮に警察官が拳銃を自分の机の引き出しに入れるなどすれば処分対象になるほどで、警察官の拳銃は非常に厳重に保管されているのです。
警察官が貸与されている拳銃を違法に使う事例は、勤務中、あるいは勤務の延長線上で発生している傾向があります。

違法な拳銃使用…どう止めるのか
どうすれば違法な拳銃の使用を止められるのでしょうか。
前述の「警察官等けん銃使用及び取扱い規則」18条には警察官に拳銃を扱わせない場合について「警察官が長期欠勤または心身の故障のため、けん銃等を保管することが適当でないと認められるとき」と規定されています。
アルコール中毒であるとか素行がおかしい警察官がいた場合は、上司の判断で拳銃を取り上げることもあるそうです。
今回の滋賀県警の事件では国民生活の安全を守る警察組織の最前線である町の交番の中で19歳の新人がおこしたことに一層の衝撃を受けます。
高校を卒業し日本国籍があるなど一定の条件をクリアしていれば、誰でも採用試験を受けることができ、合格すれば地域の警察官として勤務することになるので、未成年者であっても拳銃が貸与されることになります。
拝命したての若い巡査が、なぜこのような事件をおこしたのか、動機の解明が待たれますが、警察組織には、個々の警察官がどういうことに悩み、どんな問題を抱えているか更なる身上把握の徹底が求められていると言えます。
(フジテレビ社会部・警察庁担当 上法玄)