人生の最期を迎えるための準備をする「終活」に関し、様々なサービスが登場している。

そんな中で日本郵便が、全国の郵便局で終活のサポートを行う「郵便局の終活日和」を2月から開始した。

(出典:日本郵便)
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まず利用希望者からの相談を「生活相談ダイヤル」という専用のコールセンターで受け付け、そして要望に合わせて提携している終活関連企業を紹介するというものだ。

コールセンターへの電話は直接自分で掛けるほか、郵便局の社員からサポートを受けながら行うことも可能だという。相談や見積もりは無料となるが、実際に提携企業から提供を受けるサービスは有料となる。

(出典:日本郵便)
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紹介可能なサービスとしては、遺言の作成や相続手続の代行、介護施設や賃貸住宅に入居する際の身元保証、葬儀・埋葬の代行、入院などの費用清算代行、葬儀場や墓石の案内、介護施設の案内、入院後などの家財整理、空き家の解体、「自分史」作成や写真の出張撮影サービスなど多岐にわたる。

なお日本郵便は、2018年から首都圏や北海道で終活に関する紹介サービスの試行を始めていた。そして今年2月から全国の郵便局でサービスを展開することになったのだが、このサービスとは何が違うのだろうか?

そもそもなぜ郵便局で終活の相談を扱うことになったのか? 日本郵便株式会社の広報部に聞いた。

郵便局には以前から終活に関する相談も

――なぜ郵便局で終活の相談を受け付けることになった?

郵便局は、ゆうちょやかんぽといった貯金や保険を取り扱っており、家族がお亡くなりになった際、貯金の解約や保険金の請求手続きが必要となることから、相続を中心に終活に関する相談が一定あり、そのニーズは近年高まっていました。

そのような中で、終活相談のサービスを調べてみると、一般的に提供されているサービスは、高額であったりWEB受付のみといった利用できる方が限定的なものが多い状況でした。

これを踏まえ、地域のお客さまが抱える相続等の終活に関するお困りごとを相談できる体制を、地域に根差した郵便局に整備することにより、郵便局で、誰もが無償で相談ができ、幅広い年代のお客さまが、安心して終活関連の課題を解決できる「郵便局らしいサービス」とすることで、「社会課題の解決」に加え郵便局をご利用いただくお客さまの利便の増進につながると考えています。

(画像はイメージ)
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――2018年から試行していた「終活紹介サービス」の利用者の反応は?

ご利用いただいたお客さまからは、「友人などにも相談が難しいことであり、話を聞いてもらえてよかった」「紹介した会社の対応がしっかりしており、郵便局の紹介するところは安心できる」等、ご好評をいただくことができました。


――このサービスと今回の「郵便局の終活日和」は何が違うの?

これまでの試行で確認した社会課題や多岐にわたるお客さまの困りごとといった各種課題を踏まえ、郵便局でお電話のサポートを実施する等、より「郵便局らしさ」を訴求したものに改善しました。また、本サービスの改善は現時点で終わりでは無く、随時アップグレードしていく予定です。

これまでの相談内容をみると相続が約半分

――このサービスで一番求められているニーズは「相続」を想定している?

郵便局ではゆうちょ銀行やかんぽ生命保険のサービスを取り扱っていることもあり、これまでにご相談いただいた内容をみると相続が約半分となっています。

ご案内する社員も相続手続でお困りのお客さまのお役に立てたことが目に見えて実感を持てることもあり、本サービスの柱となっています。

一方で、終活をされる方の増加やいわゆる「おひとりさま」ニーズの高まりもあり、「遺言書」や「死後事務委任」のご相談や、空き家問題ともかかわりがある誰も住まなくなった実家にある「家財道具の整理」といったご相談も多く寄せられています。

当社としても、様々なお客さまのお困りごとをサポートできるよう、サービスの改善や拡充等に努めてまいります。


――相談は無料とのことだが、日本郵便にはどんなメリットがある?

「終活日和」にご相談頂く分には一切料金はかかりません。郵便局で幅広い年代のお客さまが安心して終活関連の課題を解決できる「郵便局らしいサービス」とすることで、郵便局を身近に感じていただくと共に、ご利用いただくお客さまの利便の増進につながると考えています。

また、本サービスをご利用いただくことで、ゆうちょ銀行やかんぽ生命保険が取扱うサービスに関する相続手続について、お手伝いができれば、お客さまの利便性が良くなる等の多くのメリットがあると考えております。

なお、最終的に各サービスの提供事業者と契約頂く際には所定の料金をその事業者にお支払い頂くことにはなります。

葬儀場や墓石の案内なども行う(画像はイメージ)
葬儀場や墓石の案内なども行う(画像はイメージ)

なお「郵便局の終活日和」の広報活動は、利用客に声がけしたり、郵便局内にポスターやパンフレットを設置して知らせていくという。日本全国にある郵便局で終活の相談ができれば、多くの人が便利になるかもしれない。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。