2月27日に滋賀県東近江市で1階に住む男性を殺害した疑いで逮捕された、無職の山本隆司容疑者(49)。
容疑者は、事件前警察に「“生活音”によるトラブル」の相談を行っていたことが分かりました。
さらに、北海道小樽市では、施設のドアに赤いスプレーをかけた疑いで男が逮捕。警察の調べに対し、男は「施設の除雪の音がうるさくて、鬱憤(うっぷん)がたまっていたのでスプレーをかけた」などと話しています。
今、急増している“生活音や騒音にまつわるトラブル”。
近隣トラブルの解決を支援する会社が、2023年にトラブル経験者を対象に行った調査によると、近隣トラブルの6割以上が「生活音や騒音」に関係することだと回答が寄せられました。
騒音対策のサポートなどを行う別の会社は、2023年の相談件数がコロナ禍前の約1.6倍に増加したといいます。
株式会社静科 高橋俊二社長:
一番大きいのは、やはりコロナ禍でおうちでお仕事されたりとか、日頃いなかった時間帯にいることによって、知らなくても良かった音が気になるとか。
街で取材すると、同じように音に関する悩みを抱えている人が。
50代自営業:
後ろの家が犬をすごい飼っているの。4匹がすごく「キャンキャン」鳴く、大音量で。早い時は朝6時くらいから、キャンキャンいって鳴きやまないでいると、それが目覚ましになる。
20代会社員:
夜11時ぐらいにすごい勢いで扉が閉まる音がして。私寝ようとしていたのに、「うるさ!」と思って起きちゃって。真夜中に掃除機かけ始めることがあって、それが響いたりすることがあるのがちょっと…嫌だなと。誰が住んでいるのかもわからないし、住み始めて半年ぐらいなので、更新もまだだし引っ越すわけにもいかなくて。
騒音トラブルに見舞われたら
「弁護士ドットコム」にも、騒音トラブルの相談が後を絶ちません。これまでの相談件数は6277件にも及びます。
【相談事例】
相談者は賃貸アパートの1階の住民。上の階にはカップルが同棲しており、深夜まで騒音がひどかったため、大家さんと共に注意に行きました。
一時的に静かにはなったものの、その後子どもが生まれ、子どもが走る音やおもちゃを投げる音が朝7時から夜まで続き、親も大きな声を出す場面も。
相談者は仕事を夜まで行い帰宅時間を遅くするなどして対策していましたが、体がもたず精神面も厳しくなってしまったといいます。
このような「生活音や騒音」によるトラブルにあった場合、どう対処すればいいのでしょうか?
弁護士ドットコム代表取締役社長 元榮太一郎氏:
このようなケースはとても難しいのですが、やはりもう一度大家さん、管理会社を通じて「なんとかしてもらえないか」とお願いすることが大事だと思います。
当事者同士はトラブルになって、事件に発展してしまうこともありますから。大事なことは、まず大家さんは入居者に対して平穏な生活環境を提供する義務というのがあり、大家さんはこのような騒音被害を防止しなくてはいけない義務を持っているので、できれば録画や録音をして「こういう状況です」と説明してやめてもらう。それをしない場合は、大家さんは入居者に対して、賃貸契約上の義務違反となるので、場合によっては入居者が大家さんに対して損害賠償を請求できるということもあります。とにかくまずは、大家さんに相談を。
――裁判を行う上で「騒音と認められる・認められない」という明確な線引きはあるのでしょうか?
弁護士ドットコム代表取締役社長 元榮太一郎氏:
総合的な要素で判断するんですけども、社会生活を送る上で受忍すべき限度を超える場合には初めて違法になるとなっていまして、音の大きさだけでは無くて継続性とか、どんな時間帯だとか、防音措置を取っているのかどうかなど。
例えば夜間の時間帯だと、45デシベル以上だと受忍限度を超えて違法だと認められやすくなると。具体的に言うと、エアコンとか換気扇の音のレベルです。
実際に裁判上で「限度を超えた騒音」と認定されたものとして、「歌声」「子どもが出す音」「ペットの鳴き声」などがあります。
弁護士ドットコム代表取締役社長 元榮太一郎氏:
上の階に住んでいるご家庭で子どもが走り回ったり、飛び回ったりと。昼夜問わず46デシベル程度の音を出したということで違法だと認められたケースです。
――逆に、騒音に対する過度なクレームなどを止める方法などはあるのでしょうか?
弁護士ドットコム代表取締役社長 元榮太一郎氏:
やはり、当事者同士は本当にトラブルになりやすいので、大家さんとか管理会社さんにしっかり説明して動いてもらう。万が一、当事者同士で行う場合は弁護士に相談して、弁護士のサポートがある中で「やめてくれ」と通知する。そのように丁寧に対応しないと危険かもしれないですね。
(「めざまし8」3月12日放送)