鹿児島市の百貨店・山形屋で3月5日から、石川県の食や伝統工芸品が集まる「加賀百万石のれん市」が開かれた。39回目となる恒例イベントだが、2024年は能登半島地震からの復興への誓いを込めた物産展となった。

復興への誓い込め 加賀百万石のれん市

食品27社、呉服・工芸・美術品23社の計50社が出店した「加賀百万石のれん市」。

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白山市から出店の「西善」。カニ脚にノドグロ、甘エビ、イクラ、白エビ、ウニそれに金粉まで、海産物をふんだんに盛り付けた加賀友禅弁当が目をひいた。

西川直孝社長は「白エビ、ノドグロなどたっぷり入れているので、食べ応えがあると思う。いつも鹿児島のお客は喜んでくれるので、ちょっとサービスしてます」と笑顔を見せた。

伝統の和菓子作りを実演したのは金沢市の石川屋本舗。ふきんで包んだ生地を微妙な力加減で整え、黒ゴマで目を入れたらヒヨコの形をした和菓子の完成だ。

「栄養価が高くて甘さ控えめでヘルシーな感じ」とアピールする打田圭一専務。芸術的な成形については「集中するしかないですね。雑念が入ると力加減が変わるので平常心でやる」と極意を語った。

能登半島地震で甚大な被害に見舞われた輪島市からの出店もある。

輪島市からも出店「ここに来て良かった」

輪島塗の桂月堂は20年以上にわたり、のれん市に出店してきたが、元日に発生した能登半島地震で、店舗だけでなく住む家もない状態となってしまった。

「店舗に並べていた商品は、全部だめになってしまった」と跡継ぎの桂木治さんは語った。棚や化粧箱に入れてあった商品も崩れ落ちていたが、一つ一つ検品し、奥さんと2人で、商品として提供できるものを選び、鹿児島に持ってきた。

多くの人が訪れる大都市も良いが、鹿児島への出店を選んだのは「お客の顔が見える、自分たちの気持ちが伝わる所に来ようと思った」から。「ここに来たことで、私たちが元気に生きている姿をお客様が見て、泣きながら私たちの所に近寄って来てくれて、すごく喜んでくれた」と続けた。「生きて良かった、ここに来て良かったと心から感じた。鹿児島を選んで良かった」、桂木さんは熱く語った。

「能登の応援をできる形が取れたら」

「自分たちが作った作品は(自分の)子どもといっしょ」という桂木さん。「今回、家もなく生活もできない環境で来たので、お客様に気に入ってもらい、使っていただくことが私たちの支援につながる。助けていただければ」と呼びかけた。

加賀能登のれん会・山田昌志事務局長も「生産者も大変な思いをしているが、動ける我々が動いて能登の応援をできる形が取れたらということで動いている。鹿児島のお客に伝われば協力をお願いしたい」と語った。

被災者支援の義援金箱も設置された39回目の加賀百万石のれん市。地震から立ち直ろうという強い意志は、鹿児島県民の心にも強く届いたに違いない。

(鹿児島テレビ)

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