東北地方の豊かな自然をイメージした緑と青の鮮やかな車体…南東北の観光の足として2024年4月から運行が始まる「あいづSATONO」は、電車ではないディーゼルハイブリット車両。乗るだけで福島の魅力を体感して味わえる観光列車に注目!
歴史・文化・食を楽しむ観光列車
1号車は緑豊かな山々や田畑の実りを、そして2号車は清らかな水や透き通った空気を表現。JR磐越西線を走る2両編成の「あいづSATONO」は会津地方の歴史や文化、食を楽しむ観光列車で、4月から土日・祝日に福島県の郡山・喜多方間を1往復する。

過去にはスイーツを味わう観光列車
観光列車と言えば…「走るカフェ」として2015年4月にデビューした「フルーティアふくしま」。福島県産のフルーツを使ったスイーツを車内で楽しめる列車として、2023年12月の運行終了まで約5万4000人が利用してきた。(※利用人数は2023年10月末時点)

JR東日本・東北本部地域連携ユニット戸田憲介リーダーは「フルーティアについては、車両の老朽化に伴って廃止になったが、その後も会津エリアの魅力を発信して多くのお客様に訪れていただきたいという思いがあった」と話す。

広々座席と開放的な展望室
「あいづSATONO」は全車指定席で、定員は59人。グリーン車の1号車は4人掛けと2人掛けのボックスシートが中心で、2号車は2人掛けと1人掛けの広々としたリクライニングシートになっている。

また、車両の先頭と後方には展望室があり、客席の約2倍ある大きな窓から外の景色を楽しむことができる。

福島のご当地グルメを味わう
「あいづSATONO」は、スマートフォンによる事前予約制で限定グルメを提供。郡山と喜多方の地酒セットや、郡山のご当地パン「クリームボックス」、会津・田季野の「輪箱飯」など、上りと下りで違ったメニューを味わうことができる。(※これとは別に車内販売あり)

JR東日本は、福島と山形、宮城の南東北3県を繋ぐ運行ルートも検討していて、周遊観光の足として今後の展望に期待が高まる。郷の列車旅を楽しむ「あいづSATONO」の運行は2024年4月6日からで、1カ月前から予約の受け付けが始まる。

電化区間なのに…電車が走らず
「あいづSATONO」が運行されるJR磐越西線・福島県の郡山~喜多方間は、1967年7月に電化され盛大に開通式が行われた。一方、喜多方から新潟県の新津間は、非電化のため電車は走れずディーゼル車だけが運行されてきた。

55年がたった2022年3月にJR東日本は郡山~喜多方間の直通列車を廃止し、会津若松駅で乗り換えるダイヤに改正した。これにより、会津若松から喜多方間はディーゼル車だけの運行となり、電化区間でありながら電車が走らない状況が続いている。

運行持続のため非電化で
乗客は「以前は何本か直通があったので、それを主に使っていました。直通があったころからすると、ちょっとがっかりという気持ちはあります」「日々利用する方が少ないと、採算の問題もあるし難しいですよね」と話す。この区間の一日の利用客は年々減少傾向にあり、2022年度に初めて1500人を下回った。

JRでは電力設備の管理費用などを削減するため、ディーゼル車に切り替える「非電化」を進めることで、列車の運行を持続させたい考えだ。

観光の街・喜多方市、土産物を扱う甲斐商店の甲斐修一さんは「喜多方駅が無人化になってってしまうじゃないかとか悪いほうに考えてしまって、とにかく本数を減らさないで今まで通り走らせてい欲しい」と話す。

もうすぐやってくる春の観光シーズン。電車ではなくても「あいづSATONO」が直通列車として久しぶりに郡山と喜多方を結ぶ。
(福島テレビ)