春季キャンプたけなわのプロ野球。福岡ソフトバンクホークスも宮崎市で連日、汗にまみれている。現解説者でホークスの元コーチだった鳥越裕介さんも視察に余念がない。
鳥越さんの解説者としての初仕事は2023年2月、同じく宮崎での春季キャンプで、当時2軍監督だった小久保裕紀さんへのインタビュー。あれから1年。小久保監督になってからの初の単独インタビュー取材だ。

期待のドラ1が初ブルペン 新人投手の印象は?

ホークス宮崎キャンプ第4クール初日。ドラフト1位の前田悠伍投手(18)が、プロ初のブルペン入りした。

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小久保監督が至近距離で見守る中、将来のエース候補は、キャッチャーを立たせ20球を投げ込んだ。
18歳ルーキーの堂々としたピッチングに小久保監督も期待を寄せる。

一方で、鳥越さんが気になったのが、即戦力の期待がかかる大卒のルーキー投手だ。

鳥越裕介さん:
新人の投手がバッティングピッチャーで投げたじゃないですか。監督の印象としては?

小久保監督:
岩井(岩井俊介 22 名城大学出身、2023年ドラフト2位)はパワー系ですよね。短いイニングなら今でもすぐ通用するとは思っています

小久保監督:
村田(村田賢一 22 明治大学出身、2023年ドラフト4位)は球速がそんなにないですけど、ほとんど8割、9割がストライクだったでしょう。ストライクをいつでもどの球種でも取れるという特徴

初めてのシート打撃登板では、ドラフト2位の岩井俊介投手が打者7人に対し22球を投げ、許したヒットは2本。最速156キロの右腕は、「(球種は)全部良かった。自信になった」と手応えを感じたようだった。ドラフト4位の村田賢一投手も打者6人に対し、被安打2という内容だった。

鳥越裕介さん:
どう育てていく?

小久保監督:
ホークスでどうするかですよね。岩井を将来的に先発に回すためのプランを作っていくのか、大津(大津亮介 25 帝京大学~日本製鉄鹿島、2022年ドラフト2位)みたいに中継ぎをさせながら、先発に回すのかみたいなのを球団コーディネーターが今年からいるので、コーディネーターと相談して基本を決めていくということになると思います

監督の注目は仲田?A組抜てき育成4選手

また、キャンプA組に4人の育成選手が抜てきされ、主力とともに汗を流している。

鳥越裕介さん:
ここまで育成で目立った選手は?

小久保監督:
シートノックを見て一番、去年と変わっていたのは仲田(仲田慶介 24 福岡大学出身、2021年育英ドラフト14位)。僕が彼に話したのは、「バッティングがいいからといってスタメンで使うことはない。でも守備だったら15、16番目の野手として、全ポジションを守れたら出場の可能性が出るから、そこに賭けてみろ」と。そうしたら本当に守備の練習を(熱心に)やったみたいで、セカンドの動きなんか、この前シートノックして奈良原浩ヘッドコーチも言っていたけど、去年の秋キャンプとは全然違う姿でした

かつてはホークスの1軍内野守備・走塁コーチだった鳥越さんもこの日、セカンドの守備に就いた仲田選手に注目していた。

鳥越裕介さん:
(仲田選手は)きょうの連携プレーでもセカンドからファーストのベースにカバーに行く走りも、すごく良かった。それはちょっと目立っていました

小久保監督:
まだ育成でね、すぐに支配下というところではないんですけれど、今年は(支配下登録選手が)62人スタートなんで、空きが8枠ある。彼らも分かっているんですよ。開幕前にひょっとしたらチャンスがあるかもしれない。その狙いで3人の育成選手をA組に入れているんです。現在4軍にいる選手、育成の選手たちのモチベーションが上がればいいなっていうところがありますけど

山川・ウォーカー加入で打順はどうなる?

そしてファンが気になるのは、埼玉西武ライオンズからフリーエージェント移籍した山川穂高選手(32)や読売ジャイアンツからトレードで獲得したアダム・ウォーカー選手(32)を加えて厚みを増した打線だ。
中軸には近藤健介選手(30)や柳田悠岐選手(35)など、ズラリと長距離砲が並ぶことになる。

鳥越裕介さん:
今年のホークスでファンが恐らく一番気になっているところは打順でしょう。監督のイメージの中で誰が軸でとか、並びはどのように?

小久保監督:
正直ね、ジグザグ(左・右・左・右…)がいいかなと思うんですけれど、去年は柳田・近藤、あるいは近藤・柳田の並びを分けなかった(※どちらも左打者)。去年はその間に割って入る選手がいなかったから、藤本博史(前)監督もそうせざるを得なかったと思うんですよね。

小久保監督:
今回は、山川もウォーカーもいる(※どちらも右打者)。長距離が打てる選手を近藤と柳田の間に入れることは可能なので、並びの時の打率、両方の打率、柳田が前の時と後ろの時とどうするか、それは数字を出してくれと球団に指示しています

鳥越裕介さん:
山川選手の後ろを打つ選手が重要になるのかなと思うんですが。個人的には、そこに中村晃選手(34)みたいなタイプの選手が入ってくるとベンチとしてはいいのかなと思いながらも(山川選手と)守備位置(ファースト)が被っているから…

小久保監督:
中村には、もちろんファーストも外野も一応、練習はさせますけど、彼はどの立場になっても、チームの中でどこの立場になっても100%必要な選手ということはもう伝えているので、それはもう間違いないところですね

鳥越裕介さん:
巨人からトレードで獲得した右打者、ウォーカーについては?

小久保監督:
そうですね、守らせるには(守備が下手なので)勇気が要るでしょう。基本はパ・リーグ向きで、DH(指名打者制度)があるからということで獲得しているわけですから

優勝へのカギ 鳥越さんが気になる「1・2番」は

元内野守備・走塁コーチの鳥越さんは、長打が期待される主軸よりも、出塁率が求められる「1・2番を誰にするか」が気になるようすだった。

鳥越裕介さん:
1・2番を打つ選手の候補は?

小久保監督:
周東右京(28)には「センターで勝負しろ!」と言っていますけれど、彼が、打率というより3割5分以上の出塁率を残せるように。(その数字で)1番打者であれば、十分機能すると思う。

小久保監督:
それから牧原大成(31)には、セカンド1本で勝負させている。三森大貴(25)やほかのライバル選手からポジションを勝ち取れば、牧原の存在も大きくなってくる

中軸打線はもちろん、1・2番の活躍が優勝へのカギとなるようだ。

ここで記者から小久保監督に、「1年前と比べて鳥越さんのインタビューはどうでしょう?」と質問が飛んだ。

小久保監督:
それはもう、回数もこなしていますし。シーズン中は辛口の解説を期待します

鳥越裕介さん:
はい頑張ります

取材について「ちょっと長くなりましたよね」と話す鳥越さん。小久保監督から、あと3本取材があると聞かされると、「うちが一番長い」と話していた。

(テレビ西日本)

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