流氷シーズン真っただ中の北海道・オホーツク海で、流氷の上に乗るなどの“危険な行為”が相次いでいます。

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地元網走市も、「本当におやめください、海に落ちると助かりません」と警告を発する事態に発展。

「めざまし8」が現地を取材すると、流氷に乗る行為の意外な危険性も見えてきました。

海に落ちたら15分で死に至る

国内でも有数の流氷がみられる人気の観光地・網走市。
大自然の神秘を求め、国内外から数多くの観光客が訪れます。安全に楽しむクルーズなどがある一方で…。

流氷の上に乗り、どんどん岸から離れていく
流氷の上に乗り、どんどん岸から離れていく

取材スタッフ:
あちらの方、どんどん奥へと進んでいきます、かなり奥の方まで歩いていますね。そしてあちらの方も氷の上に乗っていますね。

日本語、英語、中国語でも注意喚起されているにも関わらず、続々と流氷に足を踏み入れる人の姿が。中には流氷に乗って写真撮影している人も。

水温は-0.1℃。網走海上保安署は、万が一海に落ちてしまった場合、救助も困難で約15分で死に至ると話します。

網走海上保安署 行地明男署長:
もし海中転落した場合なんですけれども、今の海水温だと、落水してから15分もあれば致命的なんですよね。ヘリコプターによるつり上げというのが救助では基本になるんですが、1時間ぐらいは要しますので。そうすると…かなり厳しいのかなと。

さらに、今、温暖化の影響で、50年前には約50cm~1mの厚さだった流氷が、現在は20cmまで薄くなってしまい、崩れる危険性が高まっているというのです。

網走市で水産加工業を営む「増田水産株式会社」増田義明社長:
ちょうどこの2、3日気温が上がってきているんで、そしたら(氷が)やわらかいので、氷の間に挟まれて落ちちゃうだとか。昔からこういうところで育っている人間は、流氷の怖さを知っていますので。今は本当に自殺行為だと思います。

「氷の下は陸地だから安全」思い込みに潜む危険

取材中にも、思わずヒヤリとする場面に遭遇しました。数人の若者が流氷の上に乗って、下の氷を踏み潰すような動作をしています。

足で氷を踏み潰すような動作をする若者ら
足で氷を踏み潰すような動作をする若者ら

思わず、「すみません!」と安全な岸から声をかける取材スタッフ。

取材スタッフ:
流氷の上に乗るのは危ないので、戻ったほうがいいです!

流氷の上に乗っていた人:
すみません…。

岸に戻ってくる若者たち
岸に戻ってくる若者たち

スタッフの声掛けに反応し、岸へ戻ってきました。

――網走市が注意喚起しているのを知っていましたか?
流氷の上に乗っていた人:

知っています。(氷の)下が海じゃないんで…、その辺確認してたんすけど。割れ目から海かどうかって見えるじゃないですか。

流氷の上に乗っていた人:
(下は)おそらく陸地だと思います。割れ目から砂が見えていたので。

流氷の下が陸地だったため、安全だと思い上に乗ったと説明する若者ら。しかし、「安全だと思い込むこと」が非常に危険だと、市の担当者は話します。

赤い線から先は海か砂浜か分からない
赤い線から先は海か砂浜か分からない

網走市・観光商工部 田端 光雄さん:
大きな塊の流氷があるあたり、あのあたりは砂浜に打ち上がった流氷ですので、下は砂浜になっております。そこから先の場所になりますと、どこからが砂浜なのか、海なのかということは、なかなか判断するのは難しいと思います。
一見大丈夫かなと思って近づいても、実はその場所は海の上の氷の上だということもありますし、場所によっては非常にもろくなっていて、そのままズボッと海に落ちてしまう可能性もあるかと思います。

さらに危険なのは、その場で海に落ちることだけではありません。
2020年、旅行中の大学生が流氷に乗って写真撮影していたところ、風の影響で流氷ごと沖に流されたのです。

幸いその後風向きが変わり岸に戻ることができましたが、風次第では最悪の事態も考えられました。

相次ぐ「流氷に乗る」危険行為。15日の取材中だけでも、12人が確認されました。網走市の担当者はこう呼びかけます。

網走市・観光商工部 田端 光雄さん:
何かあってはということで、危険な行為だというふうに皆さんに思っていただければなと思います。安全な装備をして訓練もしているガイドさんのツアーがありますので、そちらでお楽しみいただきたいです。
(めざまし8 2月16日放送)