岡山市内の高速道路の利便性を向上する取り組みが進んでいる。
建設中の吉備スマートインターチェンジ(IC)は、岡山インターから広島方面へ1km余り、吉備サービスエリアの中にある。ここを2025年度中に大型車も通れるようにし、24時間通行可能とする予定だ。吉備ICが完成すれば、岡山市中心部の混雑の緩和につながるとされているが、「新たな渋滞の発生」という課題もある。

大型車も通行可能なインターチェンジへ

2月9日の朝、岡山市北区津島地区の国道53号は、長い渋滞が続いていた。平日の朝のいつもの光景だ。

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国土交通省によると、渋滞による経済的な損失は、全国で年間12兆円に上り、1人あたり、年間30時間をロスしているという。車の流れを中心部からいかに分散させるかは、街づくりの大きなテーマだ。

山陽自動車道を岡山ICから広島方面へ下り1km余り。岡山市北西部にある「吉備サービスエリア」ではETC専用の簡易型インターチェンジ、スマートICの機能を強化する工事が進んでいる。

大型車も通行可能に
大型車も通行可能に

現在のスマートICは普通車1台がようやく通れるほどの幅だが、大型車も通れるようにこの幅を広くするという。

スマートICは、既存の施設を利用して一般道に出られるようにしたもので、吉備サービスエリアでは2005年に開設した。現在のゲート幅は3メートルと狭く、アクセス道路も細くて曲がりくねっているため、大型車が通行できない。

現在進んでいる工事では、ゲートの幅を50cm広げ、アクセス道路も広くする。これによって、大型車の通行が可能になる。あわせて利用できる時間も今は午前6時から午後10時までだが、24時間となる。

岡山市道路計画課・深井真介課長:
物流が効率化し、吉備スマートIC周辺に企業立地も期待できる。

吉備スマートICの利便性が向上すれば、山陽自動車道から市内中心部に入る車が分散し、渋滞緩和につながると期待されている。

岡山市道路計画課・深井真介課長:
今、国道53号の岡山市北区津島周辺がかなり渋滞しているが、岡山ICから吉備スマートICに交通が転換されることで、渋滞緩和につながる。

この工事の大きなポイントは、スマートICへのアクセス道路が、現在建設中の国道バイパスと直結することだ。スマートIC付近の国道180号バイパスの一部区間、約700メートルは、2025年度開通予定。多くの大型車が流れてくることが見込まれる。

岡山国道事務所・宮地誠工務課長:
主たる目的は、街中へ交通が流れ込むのを回避して外でう回していただく。街中に流れ込んでいる交通が(岡山市の)西側で整理される事で効果がある。

バイパス開通で新たな課題も

バイパス開通による懸念もある。それが「新たな渋滞の発生」。

岡山市の西部を縦断するこのバイパスは、交通量の多い道路と何度も交差するため、各地で慢性的な渋滞が起きている。吉備スマートICが便利になり、交通量が増えれば、渋滞が悪化する可能性もある。

バイパスを高架にする工事も始まっているが、完成時期は未定。当面は対処療法で乗り切るしかないと、国道事務所はみている。

岡山国道事務所・宮地誠工務課長:
例えば右折レーンを伸ばして渋滞を緩和するとか信号の切り替わるタイミングを変えて、車の流れをよくすることを警察と協議することが考えられる。

山陽自動車道から岡山市の南部、中央卸売市場に行く場合、岡山インター経由だと約50分かかるのが、吉備スマートIC経由だと、半分になるというデータもあるが、あくまでバイパスが高架になった場合だ。
道路はどんどん便利になっているが、過渡期に起きる様々な課題も頭に入れておく必要がある。

(岡山放送)

岡山放送
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