多くの観光客でにぎわう京都・嵐山で14日、放置されていた「ある」建物を強制的に撤去する、「行政代執行」が始まった。
現場から関西テレビ・坂元龍斗フィールドキャスターが報告する。
この記事の画像(8枚)坂元龍斗フィールドキャスター:京都嵐山に来ています。奥に渡月橋が見え、きょうも観光客がたくさん来ています。
嵐山の真ん中にある、こちらの建物が行政代執行によって、取り壊されると決まりました。きょうフェンスで覆われて、まさに工事が始まろうとしています。この建物が一体何かというと、実は鵜飼い(うかい)の鵜(う)を飼育するための小屋だそうです。真ん中に屋根がありません。そして鵜が乗るための木や岩なども見えます。建物の色自体は景観にマッチしているような感じもしますが、草が生い茂っていて、嵐山の真ん中にある建物として、景観にそぐわない感じがします。一体なぜ、観光地の真ん中に鵜飼い小屋があるのか、なぜ撤去に至ったのか取材しました。
■鵜飼い小屋は「嵐山鵜飼観光文化振興協会」が建てた
京都府職員:ただ今から、行政代執行法に基づき、行政代執行を行います。
京都府による代執行で、取り壊されることになった、鵜飼い小屋は一体なぜ、放置されてきたのだろうか。
京都府から、小屋を取り壊すよう言われていた、嵐山通船の小島義伸代表。
嵐山通船 小島義伸代表:これ欠陥なんですよ。使えない。使えないものに、よく1億円使って建てたな。
屋形船などを運営する嵐山通船では、平安時代から続くとされる、嵐山での鵜飼いを観光地ならではの形で行っている。嵐山通船によると、問題の小屋は、鵜飼文化を広めようと設立された「嵐山鵜飼観光文化振興協会」の副理事長を務めていた嵐山通船の前社長らが建てたという。
■欠陥だらけの鵜飼い小屋、その後協会は解散し小屋は放置
鵜の鳥インフルエンザへの感染を防ぐため、2018年ごろから1億円以上をかけて、建てたということだが…
嵐山通船 小島義伸代表:屋根が全くないということは、ハトとか他の鳥が止まる。フンが落ちる。(フェンスのすきまに)子どもが指入れたら、(鵜に)かまれる。元々、使えないものを建てた。
小屋の所有は協会が、鵜の飼育は通船が担うことになっていたが、小屋を建てた前社長は2020年に解任されている。翌年には協会も解散し、小屋は放置されることになった。嵐山通船によると、去年から小屋を撤去するよう通達が来ていたが、嵐山通船として設置に関与していないとして、対応してこなかった。
近所の人:景観悪いし、建物ほったらかしにしてあるし、マイナスやなと思っていた。
■行政代執行が行われ、京都府と嵐山通船は費用で争う姿勢
そして、14日に始まった行政代執行。
京都府建設交通部 村田英光参事:ここは美しい景色で観光客が多いが、景観というものも公園の楽しみ方のひとつ。そういうものを阻害している原因になる。都市公園法にふさわしくないものであるので、撤去作業を代執行します。
京都府は、費用を嵐山通船に請求する方針だが、通船側は法廷で争うとしている。
嵐山通船 小島義伸代表:この小屋自体は、うちの持ち物じゃないんで、京都府がいつ壊そうが関係ないけど、僕としては壊すお金990万円を、嵐山通船に払えと言ってきたのが、率直に気に入らない。
京都府は嵐山通船に請求する理由を明らかにしていないが、「原因を作った関係者に対して請求をする」とコメントしている。
坂元龍斗フィールドキャスター:そもそも鵜飼い小屋を建てること自体には認可がおりているので問題はありません。ただその目的を達しない状態で放置され、公園の中にあるということが問題で、行政代執行が決まったということです。放置されることの懸念として、例えば横には桂川がありますが、よく氾濫します。氾濫を防ぐために今も桂川では大きな工事が行われています。氾濫した場合、建物は誰も管理していない状態ですから、何かあったら危険ですし、台風によって飛んでしまったら、どうするのかという問題もあり、撤去を急いでいたということです。
坂元龍斗フィールドキャスター:ただ嵐山通船としては費用を請求されることに納得がいっていない、不服だということで、法的手続きに移る、つまり裁判になるそうです。今後どのような流れになるのかというのは分かりません。
解体工事は15日以降になるとみられている。
(関西テレビ「newsランナー」2024年2月14日放送)