3連休明けの13日、日経平均株価は1000円を超えて値上がりし、取引時間中としては1990年1月以来34年ぶりの水準となる3万8000円台をつけた。

34年ぶりの3万8000円台に
34年ぶりの3万8000円台に
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騰勢が続いていたが、一夜明けた14日は200円以上下落して取引が始まっている。

日本株を左右するアメリカ市場の動向

このところの日本株の相場を左右しているのは、アメリカ市場の動向だ。

アメリカで相次いで公表された経済指標が景気の堅調さを示したと受け止められたことで、先週末のダウ平均株価は、史上最高値を更新した。

アメリカのダウ平均も史上最高値更新
アメリカのダウ平均も史上最高値更新

伸びが目立ったのは半導体関連銘柄で、AIや自動運転などの普及による需要拡大や利益増などへの期待が強まっている。

しかし、13日のダウ平均はアメリカの1月の消費者物価指数を受けて、一転して一時700ドル以上の値下がりとなった。

物価指数の前年同月比の上昇率は3.1%と、前月の3.4%からは鈍化したが、市場予想を上回ったことで、高インフレは落ち着きつつあるものの、そのペースは緩やかだとして、利下げの時期が後ずれするとの観測から、株売りが広がった格好だ。

14日の日経平均株価も反落して始まる展開となった。

東京証券取引所
東京証券取引所

この先の日本株の行方について、市場関係者の間からは「一時的な調整局面はあっても、上昇基調は変わらない」としてバブル期の1989年12月につけた史上最高値3万8915円が視野に入ったとする見方が出ている。

新NISAで多くの資金が世界株投信に

2月13日は、語呂合わせで「NISAの日」とされていて、普及を進めようというイベントが相次いで開かれた。

そのNISAをめぐり、新制度がスタートした1月、公募株式投信に資金がどれだけ流れ込んだのか、新たに購入するなどして流入した額から解約や売却などで流出した額を差し引いた「純流入額」を日興リサーチセンターが推計した結果がまとまった。

それによると、新NISAの対象となる株式投信(ETFを除く)への純流入額は約1兆2800億円となった。

1兆円を超える規模の資金が「新NISA投信」を通じて株式市場に流れ込んだということになるが、1兆2800億円のうち日本株に投資するタイプへの流入額は約1300億円だった一方で、世界株に投資するタイプへの流入額は約1兆500億円と8割を超えた。

なかでも、純流入額が1位となったのが三菱UFJアセットマネジメントが運用する「オール・カントリー」、つまり全世界の株式に投資するとされ「オルカン」という愛称で呼ばれている商品で、資金流入額は約3400億円に及んでいる。

つまり、新NISAを通じた投資は、日本株だけでなく、 その多くが海外株式に向かっていて、日本の個人投資家の資金は、 世界の株式市場に回っているということになる。

家計の金融資産構成は変わるか

日本の家計がもつ金融資産は、日銀が公表した2023年9月末時点の数字で2121兆円となり、過去最高を更新している。

一方で、日銀が2023年8月にまとめた国際比較では、日本は現金・預金が半分以上、 株式や投資信託が15%なのに対し、アメリカは逆に半分以上が株式・投資信託、ユーロ圏でも日本より多くの部分を株式・投資信託が占めている。

欧米と比べ日本では家計の金融資産構成が現金・預金に偏る傾向が続いているが、NISAについて、鈴木金融担当大臣は13日の閣議後の会見で「安定的な資産形成の手段の1つとして受け入れられつつある」と評価した。

株価の動向に大きな関心が集まるなか、新NISAがスタートしてから1カ月余りが経過した。

将来に向けた資産形成に投資を取り入れていく場合、どのくらいリスクがあるかを把握した上で、 投資を行う目的やお金が必要となる時期がいつになるのかなど、資金プランを綿密に練っていく姿勢が一層大事になってきていると言えそうだ。

(執筆:フジテレビ解説副委員長  / サーティファイド ファイナンシャル プランナー(CFP) 智田裕一)

智田裕一
智田裕一

金融、予算、税制…さまざまな経済事象や政策について、できるだけコンパクトに
わかりやすく伝えられればと思っています。
暮らしにかかわる「お金」の動きや制度について、FPの視点を生かした「読み解き」が
できればと考えています。
フジテレビ解説副委員長。1966年千葉県生まれ。東京大学文学部卒業。同大学新聞研究所教育部修了
フジテレビ入社後、アナウンス室、NY支局勤務、兜・日銀キャップ、財務省クラブ、財務金融キャップ、経済部長を経て、現職。
CFP(サーティファイド ファイナンシャル プランナー)1級ファイナンシャル・プランニング技能士
農水省政策評価第三者委員会委員