ふるさと納税のポイント制度が2025年10月から大きく変わる。『さとふる』や『ふるなび』などポータルサイトを経由した寄付で、これまで付与されてきた“ポイント還元”などの特典が、全面禁止となるのだ。寄付者の人気を集めていた“お得感”が減少する中、自治体側の新たな対策も始まっている。

ふるさと納税“ポイント”廃止へ

ふるさと納税の寄付額が、2024年度、過去最高となった福岡・北九州市。前年度より約2億円多い24億7000万円余りとなった。北九州市の武内和久市長は、市内の寿司店で利用できる食事券など、街の特徴を活かした新たな返礼品の開発なども寄付額アップに貢献したと話す。

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ふるさと納税は、「生まれ育った故郷に貢献できる」「応援したい自治体を選べる」という理念で創設された制度で、寄付の返礼として、地元の名産品などを受け取れる他、所得税や住民税の還付や控除を受けられる仕組みになっている。

年収などで異なるが、実質負担2000円で返礼品を受け取ることが可能で、年々その人気は高まっている。2024年度のふるさと納税制度による寄付総額は、前年度比1割増の約1兆2728億円で、5年連続で過去最高を更新した。

しかし、人気のふるさと納税制度は、今、大きな転換点を迎えている。2025年10月1日から、ふるさと納税に関する仲介サイトでのポイント付与が全面的に禁止になるのだ。

仲介サイトから付与されるポイントは、金銭と同様の価値交換機能や保存機能があるため、寄付者には、強い魅力、“お得感”がある。

しかし、総務省は、ポイント還元競争の過熱により、本来の地方支援という趣旨からかけ離れ、お得に返礼品を得る手段に変質したことが問題などとして、“見直し”に踏み切った。

例年は、年末に寄付が集中するふるさと納税だが、仲介サイトからポイントが付与される現行制度が、2025年9月30日までとなるため、今回は、制度が変わる前の9月に、“駆け込み”寄付が発生するのでは、と予想されている。

ポイント廃止前の9月に“駆け込み”寄付か
ポイント廃止前の9月に“駆け込み”寄付か

自治体も新たな返礼品開発へ

ポイント付与の禁止で、寄付に対する“お得感”の減少が予想されるふるさと納税。「返礼品そのものの魅力」や「寄付することの意義」が、これまで以上に重視されることになる。そのため、自治体も様々な対策を進めざるを得ない。福岡・八女市では、2025年8月から「ビールの醸造体験」を返礼品に組み入れる予定だ。

玉露をはじめ、全国的にお茶の産地として知られる八女市だが、地元の特産品である八女茶などを副原料にしてクラフトビールを醸造する『八女ブルワリー』と連携。麦芽やホップの配合からオリジナルラベルの作成まで本格的なクラフトビール造りを体験できる。

寄付金額は、20万円からで、15リットル分のビール(瓶約40本分)に加え、試飲用のビール6本が付く。

八女市役所の平島岳大さんは、「9月一杯で仲介サイトのポイント付与が終わってしまうので、それ以降、どうやって八女市を好きになってもらうか、愛着を持ってもらうか考えると、実際に八女市に来てもらい、体験してもらうのがいいだろう」と話す。体験型の返礼品を強化で、自治体への理解や愛着を深めてもらう機会になればと期待を寄せている。

八女市役所 平島岳大さん
八女市役所 平島岳大さん

制度の大幅な見直しとなる「ふるさと納税」。今後は、キャンペーンや還元率といった“お得感”だけではなく、地域との繋がりや自治体の取組みに目を向けた寄付のスタイルが主流になりそうだ。

(テレビ西日本)

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