医療機関が危機に瀕(ひん)している。元日に発生した能登半島地震で石川県能登地区の病院は被害を受けたが、それを支える金沢市の医療現場でもいま、大きな問題が起きている。

医療に加え介護も…医療従事者が疲弊

能登地区から運ばれてきた寝たきりの高齢患者の食事を介助する看護師。ここは介護施設ではなく、金沢医療センターだ。

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金沢医療センター 阪上学院長:
介護度が高い方を、病院の「看護」という業務と一緒にやっていかないといけないという事で、そこに関わることによっての疲れというのは多くみられるかなと思います

おむつの交換も行う看護師。一般的に病院は「7対1看護」、つまり患者7人に対して看護師1人を配置する体制をとっている。

しかし、介護現場は、入居者3人に対して職員が1人以上必要と決まっている。

通常の医療に加えて介護にも人手がかかり、医療従事者が疲弊する。それが今、病院で起きている課題だ。
しかし、これは今に始まった話ではない。

治療を終えた患者の「行き先がない」

2022年、金沢医療センターコロナ病棟では、医療スタッフが高齢患者の対応にあたっていた。

高齢者施設でクラスターが発生したことで多くの高齢患者が運び込まれ、コロナ病棟は、福祉施設と化した。

金沢医療センター 阪上学院長:
コロナ禍の時には、症状が改善した場合に元の場所に戻れる、あるいは自宅に帰られる方も結構いらっしゃったので、そういった意味では、その時期(波)を乗り切ればというような状況があったのですが…

新型コロナでも似たような光景が繰り広げられた。しかし、いま決定的に違うことがある。

その違いについて阪上院長は、「現在の状況としては、いったん入院された高齢者の方が、いわゆる『行き先がない』というような状況がまだまだ続いているのかなと思います」と語る。

金沢医療センターは地震発生以降、能登地区からの入院患者を約150人受け入れた。
治療を終えれば退院するのだが、受け入れ先がない人がまだ20人ほどいる。

金沢医療センター 阪上学院長:
療養病床を持たれている慢性期の病院に移って頂こうと調整しても、その病院自体が40人を超える人が順番について回っていると…。高齢者施設の細いパイプであったりとか、療養型病院の細いパイプであったりとかを少しずつつなぎながらやっているというのが現状です

石川の現状を今後に生かして

高齢化率の高い能登で起こった大災害。阪上院長は、いま石川で起きている状況を今後に生かすべきと訴える。

金沢医療センター 阪上学院長:
今後、南海トラフ(地震)とかで色んなところで能登半島と同じような事が起こってくると、非常に問題が大きくなると思いますね。色んな解決策は、今から日本全体で考えていかないといけないんだろうという感じがしています

(石川テレビ)

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