山形市の東北芸術工科大学で卒業制作展が始まった。家具と融合させた楽器や写真映えする和菓子など、2024年も豊かな発想から作られた力作がそろっている。

家具と融合 音が“3倍”に広がる楽器

2月7日に始まった2023年度の卒業制作展には、学部生と大学院生、計569人の作品と研究が展示されている。絵画やデザインなど2学部16学科・コースの幅広い作品がそろい、いずれも学生たちが精魂込めて仕上げた。

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プロダクトデザイン学科の大崎晃さんが着目したのは、またがって側面をたたいて演奏する打楽器「カホン」だ。

たたく面が3面あるため複数の音が出せる大崎さんのカホン
たたく面が3面あるため複数の音が出せる大崎さんのカホン

通常のカホンは、たたく面が一面の一方、大崎さんの作品はたたく面が3面と、複数の音が出せるようになっている。

プロダクトデザイン学科4年・大崎晃さん:
ボクが作ったのは、音が3倍に広がります

趣味でドラムやカホンを演奏しているという大崎さん。「自分でカホンを作れるのでは」と、制作を始めた。さらに家具と融合させ、家でくつろぎながら演奏できるようにした。

プロダクトデザイン学科4年・大崎晃さん:
(揺れるカホンは)ロッキングチェアという揺れる椅子の脚の部分から発想を得て、揺れる形にしました

菓子店とコラボ “写真映え和菓子”

企画構想学科・五百川遥さんの作品は、山形・上山市の菓子店とコラボレーションし、すでに商品化されているお菓子だ。

澄んだ青色の琥珀(こはく)糖と星型の琥珀糖をひと瓶に詰め、まるで「小さな銀河」のよう。写真映えし、若者たちの間で人気だという。

企画構想学科4年・五百川遥さん:
“若者の和菓子離れ”という言葉を見かけて、ショックを受けた。和菓子を若者世代により身近に感じてもらいたいと思い作った

商品名の「可惜夜(あたらよ)」の意味は、“明けてしまうのが惜しい夜”だ。大切な人とこの菓子を食べながら、素敵な時間を過ごしてほしいとの願いが込められている。

ダンボールでも跳ねたり寝転んだり…

感性あふれる作品はほかにもある。

跳ねたり寝転んだりできるダンボール遊具「バネプール」
跳ねたり寝転んだりできるダンボール遊具「バネプール」

プロダクトデザイン学科・佐藤楓佳さんが制作した「バネプール」という作品は、トランポリンのように跳ねたり寝転んだりできる遊具で、会場を訪れた子どもたちにも大人気だ。
作品に触れた来場者は、「踏み心地がいい。つぶれないですね、弾力がある感じ」と話していた。

プロダクトデザイン学科4年・佐藤楓佳さん:
子どもの遊具は物置に置かれたり、成長につれてすぐに使われなくなってしまうのがもったいないと感じた。最近言われている“脱プラスチック”、プラスチックの代わりにダンボールを使った

「バネプール」の材料は、ダンボールだけ。互い違いに折って、ばねのような構造と強度を生み出し、大人が乗ってもつぶれないダンボール遊具ができあがった。

プロダクトデザイン学科4年・佐藤楓佳さん:
パッケージ会社に就職するので、このばね構造を生かして緩衝材として使えればと思っている。もしかしたら良いのができるんじゃないかと考えている

学びの集大成。学生たちの個性的なアイデアを形にした「卒業制作展」は、2月12日まで東北芸術工科大学で開かれている。

(さくらんぼテレビ)

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