大手コンビニ・ファミリーマートは人手不足を解消するため、店舗清掃や商品補充を自動化するロボットの導入を進める。AIカメラや自動指示機能を備えたロボットは、コンビニ業界のデジタル化を加速する一方で、従業員の負担を軽減し、人手不足への対策として重要な役割を果たす。

業務支援ロボットを導入

ファミリーマートが導入を進めるのは「自動走行ロボット」。

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全自動で店内の床を清掃してくれるほか、搭載されたAIカメラを通じて、店長がリモートで棚に並ぶ商品を確認し、従業員に補充などの指示を行えるようにしていく計画だ。

また、AIが自動で商品の補充を指示したり、時間帯や他の店舗の売り場状況を比較できる機能の導入も検討していて、業務の効率化を進める。

ファミリーマート・村井律夫常務執行役員:
お客様のニーズ、それと省人化、省力化、これすべてに対応できるような、そんなロボットに仕上げていきたい。

QSC徹底がコンビニ浸透に寄与

「Live News α」では、消費経済アナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
店内の清掃とともに店長業務の一部を担うロボット、コンビニの店長経験もある渡辺さんはどうご覧になりますか。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
コンビニが50年で、ここまで浸透していったのは、QSCを徹底させたことが大きい。これは、
「Quality(クオリティー=品質)」「Service(サービス)」「Cleanliness(クレンリネス=清潔さ)」を表している。

これからもQSCは、他業種に競り勝ち、顧客支持を広げていくためにも欠かせない。

ただし、この人手不足の中でQSCをどうやってデジタル化していくのか、これが課題になっていたが、今回の取り組みは、その一つの答えなのかもしれない。

堤 礼実 キャスター:
これまでコンビニの清掃は、どのように行われていたのでしょうか。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
コンビニの店内の清潔さは、顧客側から見れば当たり前のことだが、店舗では相応のコストと時間をかけて対応している。

昼・夕方・夜勤のアルバイトの入れ替え時には、床の掃き掃除からスタートするケースが多い。そして、シフト交代したスタッフが深夜には拭き清掃をするなど、店舗に顧客を迎えるために最も大事な仕事となる。

コンビニの床をピカピカに磨くことは、店舗を清掃で綺麗にするだけではなく、店内照明が床に反射してレフ板となり、商品を綺麗に魅せる役割も大きく、より購買を促す後押しとなっている。

スタッフ負担軽減が成長のカギに

堤 礼実 キャスター:
これからコンビニのデジタル化は、さらに加速していくのでしょうか。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
今回は、AIカメラを使っての商品補充の指示もするということだが、ここでのポイントは、今後はコンビニ全体の作業の分析をして、ロジカルに人手不足を解決する武器になっていく可能性もあること。

これまでコンビニは消費者に便利さを提供してきたが、人手不足に悩むコンビニで働くスタッフの負担をどれだけ軽減できるかが、今後の成長を左右するポイントになっていく。

セルフレジ・品出しロボット、そして今回のお掃除ロボットと、世界的な小売のオペレーションの新しい潮流が日本のコンビニから進化していっていることは、ワクワクして非常に楽しみである。

堤 礼実 キャスター:
頼れるところはロボットの力を借りることで、生産性の向上やコストの削減にも繋がります。こうしたテクノロジーと共存するということが、今の時代において成長のカギなのかもしれませんね。
(「Live News α」2月6日放送分より)

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