三重県の鈴鹿サーキットで3月29日までの3日間開催されたF1™第3戦の日本グランプリ。観客動員数は2025年を5万人上回る31万5千人だった。

優勝したメルセデスの19歳、キミ・アントネッリ
優勝したメルセデスの19歳、キミ・アントネッリ
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世界最高峰のレーシングカーの走りにファンたちはくぎ付けになったが、F1は早さを追求するだけではない。今シーズンから100%サステナブル燃料の導入を義務づけた他、再利用可能なアルミ製のカップ、無料の給水所、F1スタッフも含めたごみの分別の徹底など、早さに加えてサステナビリティでも最高峰に挑戦していたのだ。

燃料は100%サステナに

F1では2026年から非化石由来の100%サステナブル燃料の導入を義務付けていて、原油由来のガソリンの使用は禁止になった。

今シーズンから100%サステナブル燃料が義務づけられた
今シーズンから100%サステナブル燃料が義務づけられた

使用する燃料は大気中から回収したCO2と水素を合成する「e-fuel」やバイオ由来の成分などで製造した燃料で、従来のエンジン性能を維持しつつ、実質的にCO2排出量を抑制する取り組みを行っている。

サーキットでも徹底した“サステナ”

こうした取り組みは、日本グランプリが行われた会場でも目にすることが出来た。

鈴鹿サーキットを運営するホンダモビリティランドの斎藤毅代表取締役社長は、「鈴鹿はモータースポーツを核として、国内外から多くのお客様が来ていただける施設になっている。その立場からすると、まずは環境負荷低減、その他にも地域や社会への貢献であるとか、モータースポーツを継続的に続けていくという観点からも、サステナブルの活動というのは非常に重要になってきていると考えている」と話す。

鈴鹿サーキットでもサステナブルな取り組みが
鈴鹿サーキットでもサステナブルな取り組みが

来場者が利用する鈴鹿サーキットの駐車場の上には、太陽光パネルが設置されている。こうした太陽光発電やCO2フリーのグリーン電力の購入、臨時で使用する発電機は化石燃料なしで生産可能なバイオ燃料で運用するなど、イベント期間中に場内で使用する電力は100%再生可能エネルギー由来となっているという。

そして場内の飲食店では、飲み物は繰り返し使えるアルミ缶のカップで提供。また食べ物の容器もバイオマス容器を使用し、使い捨てプラスチックでの提供をゼロにしている。

さらに場内の自動販売機をよく見ると、売られているのはアルミ缶の飲料ばかりだった。従来のペットボトルから缶入りの飲料に切り替えているという。

F1スタッフもごみを分別

さらに、無料の給水スポットも設置され、観客に対してマイボトルの使用を推奨することで、多くのF1ファンにも環境負荷の低減を促していた。

スタッフにもごみの分別を義務づけた
スタッフにもごみの分別を義務づけた

サーキット内でのごみの分別回収はもちろんだが、レースで戦うF1チームのスタッフにも分別を求める。パドックエリア内の分別センターには、各チームのスタッフたちがあらかじめ分別したごみを次々に持ち込んできていた。それをセンター内でさらに分別するなど、徹底した作業が行われている。

「ESG活動は不可欠」

サーキット内の花壇にもサステナブルな精神があった。地域連携の一環として地元の高校生たちがデザインしたのだが、場内で回収した枝葉を堆肥化した肥料を使っている。

主催者だけでなく、観客、チーム、地域も一体となってサステナブルなF1レースの運営に取り組んでいるのだ。

レースだけではなく全体としてサステナブルな取り組みを実施している
レースだけではなく全体としてサステナブルな取り組みを実施している

ホンダモビリティランドの斎藤社長は、「サステナビリティというのは限界のある活動ではなくて、これからどんどん進化をしていかなければいけない。一つの会社だけではなかなか進化が遂げられないので、これからいかにサステナビリティパートナーを作れるか」「将来にわたってモータースポーツというのを日本の中に残していきたいし、もっともっと盛り上げていきたい。 そのためにこのE(環境)S(社会)G(ガバナンス)活動というのは絶対に不可欠な取り組みだなと思っている」と語った。

モータースポーツの世界でも広がるサステナブルな取り組み。さらなる高みを目指して、トップスピードで駆け抜ける。