秋葉忠宏 監督が留任し、1月9日には新シーズンの初練習を行った清水エスパルス。クラブ史上初めて2年連続でJ2を舞台に戦うエスパルスにとって、2024年は勝負の1年となる。J1復帰のカギを握る選手を探った。

育成の象徴に そして勝利に導くゴールを

2024シーズン、北川航也は清水エスパルスにおける下部組織出身選手の中で最年長となる。

2023シーズン、プレーオフで勝ち切ることができず、クラブ創設以来初の2年連続J2という試練を味わい、2024年こそ「絶対にJ1復帰」という大目標を掲げると共に、改めて“育成”に力を入れると宣言しているチームにとって、同じく下部組織出身の宮本航汰、西澤健太、そして北川航也はその象徴にならなければならない選手だ。

チームは過去3年、絶対的なエースとして君臨したチアゴ・サンタナが去り、北川は空席となったセンターフォワードの役割を担う最右翼にいる。

育成の象徴、そしてチームを勝利に導くゴールと北川に課せられた仕事は重く大きい。しかし、海外挑戦など経験を積み重ねてきたタフガイは2024年、魚中心の食生活に切り替え、コンディションを整えるなど、自らの務めを果たすべく高い意識を持っている。

また、下部組織の出身者として“次世代につなぐ”という思いも抱き、自らが得点を狙うのはもちろんこと、若きチームメイトを育てつつアシストするという青写真も描く。

かつて若武者と称された男も7月には28歳。エスパルスのリーダーとして、「チームを動かす人になりたい」と意気込み、新シーズンを迎えている。

この記事の画像(2枚)

肉が好きだが魚中心の生活に

-新しい年になり決めていることは?
清水エスパルス・北川航也 選手:
過去に年が明けたタイミングで何をやろうと決めることはあった。最近はあまりこだわり過ぎないで取り組んでいて、2024年始めているのは魚生活。食生活でなるべく魚を摂ること。ここ3週間ばかり続けているがコンディションがいい。元々、栄養士の方から「魚の油がいい」と言われていて、自分は肉が好きだからなかなか実行できなかったが、なるべく魚で続けていきたいと決めた(笑)。

新年はあまり変わらない流れだったが、うれしいのは息子が自分で何かできることが増えてきていること。そういった成長を間近に見られるのは幸せに感じられることだし、同時に自分としてもサッカー選手として、一人の人間として親として、毎日成長しないといけないと感じている。

子供や地域に応援されるシンボルに

-2024年はクラブ創設以来初の2年連続J2となるが今季のチームは?
清水エスパルス・北川航也 選手:
2024年はレンタルバックで帰ってきた選手を含め育成出身の選手が増えた。また、OBや指導してくれていた方がフロントや強化のスタッフに加わって、チームが少しでも変わっていこうという現れを肌で感じる。

ただ、変わっていくだけでは地域に選手が目指す愛されるチームにはならないと思うし、やはりチームが結果を残していくことが未来につながり子供たちに愛されると思うので、育成出身である自分たちが試合に出て結果を残していくことが、子供たちや地域に応援されるシンボルになれることだと思う。そういった責任やプライドは強く感じている。

テストマッチではレンタルバックと新加入選手の特徴を把握して、チーム戦術の理解を含めてコミュニケーションが取れている。コンディションは皆いいのでこれを維持して、キャンプを通していい形で終わりたい。

竹内選手の移籍で芽生えた自覚

-竹内選手が移籍したことによって北川選手の代が下部組織出身の最年長に
清水エスパルス・北川航也 選手:
個人的にうまくいかない時間があった時に、竹内選手は自分に寄り添っていろいろな声を掛け力になってくれた。

そんな選手がいなくなり寂しいが、そこはプロの世界で仕方がない。代わりに自分たちが若い選手を引っ張っていかないといけないし、そういった姿勢をピッチばかりでなく、どこでも示していかなければいけないと思っている。まずはピッチの上で自分たちの価値を高めるとともに、いろいろなところに目を配って自分も成長できればと思う。

チームの勝利を大前提に切磋琢磨を

-チアゴ・サンタナ選手の移籍をどう受け止めるか?
清水エスパルス・北川航也 選手:
フォワードである以上、得点という部分はやはり求められる。

ただ、自分の良さは得点ばかりでなく、アシストやそれ以外のところでチームを助けられるところだと思う。

チームには、他にも得点のできる選手はいるし、2024年はそういった若い選手(川本・千葉・郡司など)が多いのでアシストもいいし、それは若い選手の成長や自信にもつながる。チームが勝つということを大前提に自分とライバルとで切磋琢磨してプレーすることが大事。

個人目標は「20スコアポイント」

-自身の今季の個人目標は?
清水エスパルス・北川航也 選手:
得点に絡む仕事が大事だと思っているので個人の目標は「20スコアポイント(ゴール数+アシスト数)」としたいし、チームを動かす人という役割をやらなければいけないと思っている。

同時にチームの目標を実現したい。ここまで順調に来ているが、まだやらなければいけないことはあるし、もっとコンディションを上げなければいけない。開幕までの時間が大切。ゲームに向けていい準備をしていきたい。

カギ握るのは“最初の5試合”

-2023シーズンの轍を踏まないために何が必要?
清水エスパルス・北川航也 選手:
J2で勝つためにはどんな時もぶれないことが大事。自分たちから崩れないことも。シーズンの難しい時もチームのためにという気持ちがあれば大崩れはしない。

また、最初の5試合が大切だと思う。開幕5戦連続勝利できればチームも勢いに乗れると思う。研究されようが対策されようが自分たちは自信を持って戦える。開幕5試合を全力で戦うことが大事だと思っている。

(テレビ静岡 報道部スポーツ班・外岡哲)

テレビ静岡
テレビ静岡

静岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。

外岡哲
外岡哲

テレビ静岡 報道部スポーツ業務推進役(清水エスパルス担当)。
1984年テレビ静岡入社。
1987年~1994年(主に社会部や掛川支局駐在)
2000年~2002年(主に県政担当やニュースデスク)
2021年~現在(スポーツ担当)
ドキュメンタリー番組「幻の甲子園」「産廃が街にやってくる」「空白域・東海地震に備えて」などを制作。
清水東高校時代はサッカー部に所属し、高校3年時には全国高校サッカー選手権静岡県大会でベスト11。
J2・熊本の大木武 監督は高校時代の同級生。