秋葉忠宏 監督が留任し、1月9日には新シーズンの初練習を行った清水エスパルス。クラブ史上初めて2年連続でJ2を舞台に戦うエスパルスにとって、2024年は勝負の1年となる。J1復帰のカギを握る選手を探った。

自らの仕事は“攻守にわたり顔を出す”

容姿端麗。

2024シーズンから清水エスパルスに新加入したMF・中村亮太朗(26)を形容するにはぴったりの言葉だが、プレーに関しての印象はだいぶ違う。

新潟明訓高校から中央大学に進み、4年生の時にはヴァンフォーレ甲府の特別指定選手となった中村は、卒業後もそのまま甲府で2年間プレー。その後、鹿島アントラーズに完全移籍したものの、2023シーズンは“古巣”の甲府にレンタル移籍。そして2024シーズン、エスパルスにやってきた。

ポジションはボランチ。自らの仕事について“攻守にわたり顔を出す”ポジションと心得、”泥臭い献身的”なプレーが身上だ。攻撃面では“アシストの前”の起点を作るような、いわば黒子のような繊細なプレーを得意とし、守備面では、いろいろなチームで学んできた球際の強さに注目してほしいという。

1月に行われたSC相模原とのテストマッチでは、中盤のワンボランチとして出場すると持ち味を存分に発揮し、縦に駆け抜ける選手にスルーパスを出したり、味方が前方で詰まった時には機転の利いた大胆なサイドチェンジを見せたりと攻撃面での貢献を見せたかと思えば、ショートカウンターを受けそうになったタイミングですばやく相手との距離を縮めてボールを奪取するなど、攻守ともに存在感を見せつけた。甲府の篠田善之 監督が移籍を残念がったというエピソードもうなずける。

エスパルスはホナウド・竹内・松岡と、ボランチを担う選手の多くがチームを去った。それだけに中村が担う役割は間違いなく大きい。

鹿児島キャンプを経てエスパルスの戦術や戦略をさらに吸収し、自身の持ち味と融合することで、チームに大きな力を与えてくれることが期待される。

この記事の画像(2枚)

チームの良さを吸収 自分の経験を還元

-エスパルスに加入した印象は?
清水エスパルス・中村亮太朗 選手:
能力のある選手がそろっているという印象は以前からあって、予想通り、クオリティーの高い選手や若くても良い選手がいる印象。

2023年のアウェー戦でアイスタに来たが、サッカー専用の競技場で、歴史あるスタジアムで、独特の雰囲気を感じたがとてもプレーしやすかった。

エスパルス自体はJ1に長い間いたチームだし、力を入れて速くやるところと抜くところのメリハリがわかっているチームだと思っていて、そういった良さを自分も吸収して、そして自分がこれまで経験してきたことを還元することによって良い方向につながればと思っている。

各選手とのコミュニケーションを大切に

-よくコミュニケーションを図る選手は?
清水エスパルス・中村亮太朗 選手:
同い歳なので住吉ジェラニレショーン選手とはよく話をしているし、若い選手も年上の選手ともする。ポジションが同じの白くん(白崎凌兵 選手)とも話しているし、後ろのポジションでは(山原)怜音選手とは、自分がチームに来たばかりなのでエスパルスのサッカーとか、フォーメーションとか、システムとか、わからないことが多いので、少しずつ聞きながら自分の中でイメージして落とし込んでいる。

秋葉監督を信頼 ともにJ1へ

-秋葉エスパルスの印象は?
清水エスパルス・中村亮太朗 選手:
秋葉監督は凄く人が良いというか、信頼できるような指導者だと思うし、思いやりや愛がある人間だと感じている。秋葉さんと一緒にJ1昇格できるように頑張りたい。

攻守にわたって顔を出し続ける覚悟

-中盤の選手としてどのように貢献したいか?
清水エスパルス・中村亮太朗 選手:
ボランチというのは攻守にわたって顔を出さなければならないポジション。攻撃でいえば、たくさんボールをさばいてゲームをコントロールしなければならないし、今まで僕がいろいろなチームで学んできた守備のやり方だったりというところ、特に球際(の強さ)といったところはどんなところでも違いを見せられるように貢献していきたいと思う。

恩師に成長した姿を見せるべく

-甲府の篠田監督が中村選手の移籍を残念がっていたと耳にしたが?
清水エスパルス・中村亮太朗 選手:
シノさん(篠田監督)がエスパルスで指導者をやっていたことも知っているし、自分も去年、甲府で信頼してもらい使い続けてくれた監督なのでチームを去る際にはいろいろな話をした。

昨シーズン終わる寸前にも結構話し込んだ。その中にいろいろな思いもあるが、今はシノさんにも成長した姿を見せないといけないと思っている。ここで本当に成長したい。

J2にいてはいけないクラブ

-サポーターに対するメッセージは?
清水エスパルス・中村亮太朗 選手:
清水のサポーターはすごい。ここはサッカー王国だと思う。そういう県だし、J2にいてはいけないクラブだと思う。サポーターの意識も高いし、広く応援してくれる人が多いと思う。期待に沿えるように、結果を残せるようにやっていきたい。

J2優勝、J1昇格が目標。個人的な目標として数字を言うのは好ましくないと思うので、できるだけ多くの得点に絡むということを目標にしたい。それはアシストやゴールだけではなくて、そのプレーの前の起点となる仕事ということ。いわば“アシストの前のプレーを作る”。そういう部分にぜひ注目して見て欲しいと思う。

(テレビ静岡 報道部スポーツ班・外岡哲)

テレビ静岡
テレビ静岡

静岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。

外岡哲
外岡哲

テレビ静岡 報道部スポーツ業務推進役(清水エスパルス担当)。
1984年テレビ静岡入社。
1987年~1994年(主に社会部や掛川支局駐在)
2000年~2002年(主に県政担当やニュースデスク)
2021年~現在(スポーツ担当)
ドキュメンタリー番組「幻の甲子園」「産廃が街にやってくる」「空白域・東海地震に備えて」などを制作。
清水東高校時代はサッカー部に所属し、高校3年時には全国高校サッカー選手権静岡県大会でベスト11。
J2・熊本の大木武 監督は高校時代の同級生。