2月1日、アメリカのIT大手、メタが決算発表を行い、好調な業績が明らかになった。
しかし、今アメリカでは子供たちのSNS利用による性的被害が深刻化しており、メタのマーク・ザッカーバーグCEOがアメリカ議会上院で謝罪する場面もあった。
ザッカーバーグ氏が窮地に
アメリカのIT大手メタは、四半期の決算で売上高と純利益が過去最高となり、株主に初めて配当を行うことを発表した。
メタは2月1日、2023年10月から12月期の決算を発表し、前年の同じ時期と比べ、売上高が25％増え、401億1100万ドル、日本円で約5兆8700億円となった。
ネット広告事業の売上が伸びたほか、従業員の削減などで純利益は昨年の同じ時期と比べ、約3倍となる140億1700万ドル、日本円で約2兆500億円となった。
また、株主に初めて配当を行うことも発表した。発表後、メタの株価は15％以上高騰した。
ここからは、取材センター室長・立石修がお伝えする。
フェイスブックやインスタグラムを所有するメタが経営も絶好調ということだ。
このフェイスブックを立ち上げたのがマーク・ザッカーバーグCEO（39）。フェイスブックは現在、アメリカで70％近い人が使っており、最も人気のあるSNSとなっている。
社会的革命とも言えるフェイスブックが始まって、2月4日で20周年を迎え、記念すべき年となる。
しかしザッカーバーグ氏が今、倫理的な窮地に立たされている。アメリカで何が起きているのだろうか、
今アメリカでは、SNSの利用により、子供が性被害を受け画像を拡散などされた結果、自殺に追い込まれるケースが相次いでいる。
この問題を受け、1月31日、アメリカ議会上院ではSNSを運営するトップ5の企業の最高経営責任者らを呼んで、公聴会が開かれた。
ザッカーバーグCEOは「コミュニティーの安全を守るため、最高のツールを作るのが仕事です」と発言。すると議員が「失敗している」と反論。ザッカーバーグCEOが「業界をリードする…」と話し始めると、議員が「ナンセンスだ！」と止めた。
さらに議員は「製品が人を殺している！補償しますか？億万長者でしょ！」と批判した。
議員からは、利益を優先し対策を十分行っていないといった厳しい指摘が相次いだのに対し、各社は利用者の年齢制限を設ける機能を付けるなど、対策を講じていると説明した。
この公聴会には、SNSが原因で子供が自殺に追い込まれたと訴える親なども参加しており、子供たちの写真を掲げ、抗議をしていた。
公聴会では、ザッカーバーグCEOが謝罪に追い込まれる場面も見られた。
ザッカーバーグCEOは「皆さんが経験したことにお悔やみを申し上げます。家族が苦しめられたことを知り、恐ろしい気持ちになります」と述べた。
ザッカーバーグCEOがこうした公の場で謝罪するほど、アメリカでは子供たちへのSNS上での性的被害が深刻化しているということだ。
少なくとも20人が自殺か
アメリカで今問題になっているのが、Sextortion（セクストーション）という言葉だ。
これは「性的」を意味する「Sex」と、「ゆすり・脅迫」を意味する「Extortion」という言葉を合わせた新しい言葉で、今子供たちがこのセクストーションの犠牲になっていることがアメリカでは問題になっている。
特に注目を集める契機となったのが、17歳のギャビン・ガフィーさんの自殺だ。ギャビンさんはインスタグラムで知り合った女性を装った何者かにだまされ、裸の写真を送った。
しかし、その後、裸の写真をばらまかれたくなければ金をよこせなどと脅され、命を絶った。
さらに、ギャビンさんが亡くなった後も、ギャビンさんの家族に金銭を要求するなどの恐喝が続いたのだ。
この事件はアメリカの社会に大きな衝撃を与えたが、FBIによると、ネットなどを舞台にした未成年へのセクストーション、性的恐喝は、2021年10月から2023年3月までに13000件。少なくとも20人が命を絶っており、今も増加傾向にある。
ザッカーバーグCEOは今後、未成年者は初期設定で見知らぬ人からのメッセージなどを受け取ることができないようにすること、子供にヌード画像の送信を思いとどまらせるための新しい安全ツールを開始すると発表している。
だが、SNS上で少年少女が正直に年齢を登録するとは限らず、実効性には問題がある。
今回の公聴会は、メタのザッカーバーグ氏だけでなく、TikTokのチュウCEO、XのヤッカリーノCEOなど主なSNS5社の経営責任者が招集され、非常に大きな問題となっている。
アメリカには事実上、SNSをめぐる法的規制がないが、それを求める声は今後高まるとみられる。
（「イット！」 2月2日放送より）
