佐賀・鹿島市で300年以上続く伝統の「ふな市」。出店は年々減り続け、1店舗のみの出店となってしまったが、今年(2024年)も天然のフナを買い求める多くの客で賑わった。
水槽に“天然のフナ”約600匹

佐賀・鹿島市浜町の酒蔵通りで毎年1月19日に開かれる伝統行事「ふな市」。この日、雨の中、夜明け前から続々と人が集まってきた。

出店に設けられた水槽。そこには佐賀平野のクリークで獲れた「天然のフナ」が約600匹。客が活きのいいフナを次々と買い求め、毎年2時間ほどで売り切れる。このため冬の厳しい寒さにかかわらず夜明け前から客が訪れる。
訪れた客:
去年、遅く来たので売り切れていた。今年は早く来てよかった
郷土料理「ふなんこぐい」

この地域には、フナを昆布で巻き、味噌をこして作った汁で甘辛く煮る「ふなんこぐい」という郷土料理がある。「ふな市」では、フナの味を多くの人に知ってもらおうと、この「ふなんこぐい」が無料でふるまわれた。

昆布のだしがしっかりときいていて美味。フナを丸ごと煮込んでいるため臭みや骨も全く気にならないのが「ふなんこぐい」の特徴。小ぶりなフナの方が味が良く人気だという。

「ふなんこぐい」を二十日正月に供えてきたことから、毎年その前日の1月19日に「ふな市」が開かれている。また、江戸時代、高価な鯛の代わりに形が似たフナを供えたことが「ふな市」の始まりとも伝えられている。
かつて「ふな市」は多くの店でにぎわっていた。
年々減り続け”1店舗”だけに

しかし、フナを食べる人が減ったことから販売をやめる業者が相次ぎ、去年(2023年)から1店舗だけの出店となってしまった。
毎年訪れていた常連客は寂しさを感じているようだ。

常連客:
30年くらいずっと通っています。フナを“あらい”で食べたりしています。もう今ここだけになってしまったので、ちょっと寂しい気もします

長年通い続けている常連客は、多くの出店でにぎわっていた昔を懐かしみながら、1店だけになった伝統の「ふな市」を楽しんでいた。
(サガテレビ)