第213通常国会が召集され、上川外相は30日、本会議で外交政策について「外交演説」を行った。

演説では、ロシアによるウクライナ侵略について、1月7日にウクライナの首都キーウを訪問したことを踏まえ「侵略の生々しい傷跡を見てきた」と強調した上で、改めて「国際社会と連携し 対ロ制裁とウクライナ支援を強力に推進していく」と強調した。

主要外交政策「女性・平和・安全保障」
続いて「女性・平和・安全保障(WPS)」に関して「主要外交政策の一つとして力強く推進する」と強調し、重要性を発信していると述べた。
近隣諸国などとの関係
【中国】
上川外相は、日本と中国との関係について、「様々な可能性と共に尖閣諸島を含む東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更の試みなど、数多くの課題や懸案が存在してる」と危機感を示した。一方で、日本と中国は「地域と世界の平和と繁栄に対して大きな責任がある」として、「諸懸案も含め、対話をしっかりと重ね、共通の課題については協力する、建設的かつ安定的な日中関係が重要だ」と述べた。

その上で、中国対し、日本産食品に対する輸入規制の即時撤廃を引き続き求めると強調した。
【韓国】
日本と韓国との関係については「関係の改善が軌道に乗っている」と強調した上で、「多様な分野で連携や協力の幅を広げ、パートナーとして力を合わせて新しい時代を切り拓いていく」と意気込みを語った。

一方、島根県の竹島については、歴史的事実や国際法上も日本固有の領土であるとの基本的な立場に基づいて、毅然とした対応をすると強調した。
【ロシア】
日ロ関係について上川外相は「ロシアによるウクライナ侵略により引き続き厳しい状況だ」と強調した上で、北方領土問題を解決し、平和条約を締結する方針を堅持していくと述べた。

また、最優先事項の一つとして、北方四島交流等事業の再開をあげ、「特に北方墓参に重点を置いて事業の再開を引き続き強く求めていく」と強調した。
【北朝鮮】
北朝鮮については「核・ミサイル活動を一層活発化する意向を明らかにしている」と懸念を示した上で「安保理決議違反でもある弾道ミサイルの発射等は断じて許されない」と強調した。

さらに、拉致問題について、「拉致被害者のご家族も高齢となる中で時間的制約がある」とした上で、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、全力で取り組むと意気込みを語った。
日米同盟の一層の強化
上川外相は日米同盟について「日本の外交・安全保障の基軸だ」と述べた上で、抑止力・対処力などを一層強化すると強調した。さらに、沖縄県のアメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設を巡っては「普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古移設を進めるなど、地元の負担軽減と在日米軍の安定的駐留に全力を尽くす」と述べた。
(フジテレビ政治部)